B「ずらせばいけるっしょ」
井戸を開封するかどうかで話し合うと、一先ず石蓋が動くかどうか確かめる事になり、片側から三人がかりで押してみる事にする。
グンと体重をかけて押し込めば、案外簡単にゴリゴリゴリと動いたので、土の足場ですっ転びそうになりながらも何とか立て直しつつ押していけば、井戸の口が半分見える程度まで開いた。
だが、井戸が開くと同時に物凄い臭気が気流に乗って立ち上り、俺達の鼻腔を刺激した。
思わず「うぇっ」と鼻がもげそうになったが、果敢にもBは手持ちの小型LEDライトを点けて井戸の中を覗き込む。
俺とAと言えば、情けないが苦手な匂いだったので地面に崩れ落ちる様に膝を付き、嘔吐寸前の所を気力のみで耐え忍んでいた。
Bはすげえな、そんな事を思いながら吐き気を我慢していれば、背後からBの「ううぇえええええ」といった間の抜けた叫び声が聞こえてきた。
結構驚きつつも俺は平静を装いながら「何?」と振り返るが、Bは井戸から後退る様に尻餅をつくと、無言で俺にライトを手渡した。
意図は何となくわかったが、手渡されたののは受け取るしかない。
俺は異臭に耐えながらもライトを握って恐る恐る井戸の中を覗き込む。
すると、井戸の奥、暗がりを煌煌と照らす光源の中に幾つもの白い遺物を見つけ、思わず仰け反った。
俺「うわああ」
俺が短い悲鳴を上げれば、その反応が気になったのか、未だ吐き気を我慢して塞ぎこんでいたAも狼狽えて放心している俺からライトを掠め取り、井戸の中を覗き見る。
そう、井戸の底に大量の骨が嵩張っている事も知らずに覗き込んだのだ。
A「うわっ……」
Aは井戸の中身を知るなり、何かを悟った様な面持ちで俺にライトを返して来た。
だが、そのライトはBの持ち物だ。
俺は未だ井戸の中のモノを見て困惑しているBにライトを手渡すと、Bは殆ど無反応にも関わらずライトを受け取ってくれた。
人は何気なしに手渡された物を受け取ってしまいがちだと、こんな時にどうでもいい事を考えていた。
井戸から離れた俺達は、何故井戸の中に骨が投げ捨てられているのか考え始めていた。
骨は砕いた様にバラバラだし、数十体もの骨が嵩張っているせいで人間のものかどうか井戸を覗き見た程度では判別できない。
それにいつ遺棄されたのかも分からない。
夏場は数週間で白骨化するとも聞くし、俺達にはそういった知識が無かった。
だが、骨の一番上に嵩張る比較的新しい骨の一部には、まだ腐りかけの肉がついているのか、蠅や蛆がわんさか集っていた。
恐らく、臭気の原因はこの腐食の匂いだ。
または、その匂いが充満して井戸全体に染みついているのかもしれない。
ただ幸いなのが9割以上殆どが骨なので死体が腐った様な匂いはさほど感じられない事だ。
以前バイトで独居老人が孤独死した際の遺品を検品する為に袋を開けた事があるが、あの匂いはかなり強烈だった。
それに比べたら井戸の匂いはそこまで酷いものではないが、腐食の類には間違いなかった。
問題は、どうして井戸の中にこんなものが溜まっているのかなのだが、俺達は同じように顔を上げて一人の存在を口に出す。























すげえ
めっちゃ読み応えありました
こういうのもっと読みたい
これ最高
描写がすごい
これほん怖とかの実写で見てみたいな
想像で吐き気がやばかった。怖かった。
漢字で書いた方が読みやすい言葉と、ひらがなで書いた方が読みやすい言葉がある。って文学者が言ってた。
本当に理解しているエンジニアは説明の時に専門用語を使わない。それと似ている
読み応えあるしきちんと怖い
大学二年生で平成後期生まれって書いてるから飛び級でもしたのか?と思ったけど後半って書きたかったのかな?
俺も気になった
2023年1月に投稿で夏休みの話ってことは、どんなに若くても2022年夏に大学二年生=2003年(平成15年)生
平成後期生まれとは言わないわな
細かいかもだけど、こういうとこで1回気になると一気に没入感無くなるからもうちょい設定練っといてほしい
↑
わかる。設定に引っかかると萎えるよな
俺は「排他的であればあるほど研究意欲が沸き立つ」で「オカルト好き」なのに完全に他人任せで調査に関わらない先輩が気になった
翌日迎えに来れるなら別の重要な調査と被ったとかじゃないだろうし
語り手達に状況を再確認させる人物がストーリー的に必要だったのは分かるけどちょっと萎える
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おもしろかった。