A「なあ、あの仙人、なんでここに行けって言ったのかな」
Aが言う通り、仙人は恐らく井戸の中身を知っていて俺達をここに誘導したと考えるのが普通だろう。
俺達がビビって腰を抜かすのを想像して楽しんでいるのか、それとも知らずにここを教えたのか。
何れにしても妙な違和感が引っ掛かる、そんな気分だった。
妙な違和感。
B「まだ肉がついてた骨あったよな?」
そう、比較的新しい肉がついた骨がある。
それはつまり、あの骨の主が最近殺された事を意味するのだが、仙人の話では数十年は村で一人で暮らしている筈。
この廃村に現在身を寄せているのは唯一の人間が仙人だとすれば、この骨を遺棄したのはあのおっさんしか居ないのだ。
少なくとも、肉がついた骨は仙人の仕業だ。
俺達は最悪の可能性に辿り着くと、途端に仙人が殺人者に思えてしまい悪寒から身震いした。
ただ、あれは何の骨なのだろうか。
恐らく何度見ても俺達に判別はできないだろうが、好奇心からもう一度覗いてみる事にした。
人骨に似た形状の骨も中にはあるが、肉がこびりついて蠅が沸いている小さな骨は動物のモノの様に小さくも見える。
もし、仙人がこの場所をゴミ捨て場として活用していれば、スーパーで売ってる様な骨付き肉を買って食べ、ここに捨てた可能性も無きにしも非ず。
いつまでも眺めていても臭いだけだし、虫が飛び交っていて気持ち悪い。
骨については先輩に報告すればいいだろうと思い、俺は井戸から顔を離す。
そんな中、Bがリュックをまさぐり始めると、中から百均で売ってる様な調理用のポリ袋を取り出して「あの骨回収するか?」などと肝っ玉が据わる発言をしたので、俺とAは「マジか」と顔を引き攣らせた。
コイツ鉄の精神力だなと思っていると、Bは「たかが骨だろ」と鼻で笑っていたので、本当にBは凄いと感心した。
しかし、Bよ。
お前はさっき一番に井戸を覗き込んで悲鳴をあげてすっ転んでいたんだぞと告げれば、Bは「さっきのは急だったから」と恥ずかしそうにそっぽ向いていた。
Bは井戸の縁に手をついて再び中を覗き込む。
小屋の隅に避難している俺の所にまで悪臭は漂っていると言うのに、Bの忍耐力は大したものだ。
そして、Bがポリ袋を広げて井戸の中に手を入れると、Bは「うわあっ」と再び大声を上げたかと思えば、天井を見上げる様にしてひっくり返った。
芸人風に言えば天丼。
流石に天丼はつまらないと思いつつも、俺は「大丈夫かー」と呑気に声を掛けるが、Bは「ひぃぃ」と言わんばかりの呻き声を上げながらこっちに逃げ帰ってくる。
そこには先ほどまでの威勢の良さは微塵も無く、腰が引けて情けないBの姿しかなかった。
B「ヤバいヤバい!掴まれた!ホラ!」
Bは井戸から逃げ帰ってくるなり、血走った目で左腕を翳す。
翳した腕を見れば何かねっとりとした赤黒い体液の様な手痕が手首の辺りに染みついているのが分かった。
それに、その体液から僅かに漂う香りはまさしく腐敗臭だった事から俺とAは再び吐き気に襲われて膝から崩れてえずく。

























すげえ
めっちゃ読み応えありました
こういうのもっと読みたい
これ最高
描写がすごい
これほん怖とかの実写で見てみたいな
想像で吐き気がやばかった。怖かった。
漢字で書いた方が読みやすい言葉と、ひらがなで書いた方が読みやすい言葉がある。って文学者が言ってた。
本当に理解しているエンジニアは説明の時に専門用語を使わない。それと似ている
読み応えあるしきちんと怖い
大学二年生で平成後期生まれって書いてるから飛び級でもしたのか?と思ったけど後半って書きたかったのかな?
俺も気になった
2023年1月に投稿で夏休みの話ってことは、どんなに若くても2022年夏に大学二年生=2003年(平成15年)生
平成後期生まれとは言わないわな
細かいかもだけど、こういうとこで1回気になると一気に没入感無くなるからもうちょい設定練っといてほしい
↑
わかる。設定に引っかかると萎えるよな
俺は「排他的であればあるほど研究意欲が沸き立つ」で「オカルト好き」なのに完全に他人任せで調査に関わらない先輩が気になった
翌日迎えに来れるなら別の重要な調査と被ったとかじゃないだろうし
語り手達に状況を再確認させる人物がストーリー的に必要だったのは分かるけどちょっと萎える
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おもしろかった。