廊下に響くヒールの音
投稿者:YoyoYoyoY (52)
短編
2023/01/12
20:02
687view
その日は珍しく、外では雪がちらついていました。
冷え込んだ空気は、換気用に開けた小窓から流れて来ます。
小窓を閉め忘れていたことを後悔しましたが、もう温かい布団の中。
私は朝まで我慢しようと、そのまま眠ってしまいました。
再び、冷たい空気が首筋をすりぬける感触があります。
寒い!と思って、目が覚めました。
すると、突き当りのお宅から、コツーンコツーンとヒールの音が響いて来ました。
ここはマンションの15階で、最上階です。
うちの隣は、小学生2人と父親の3人暮らし、突き当りの家は老夫婦の2人暮らしです。
ヒールなんて履く女性は、住んでいません。
どちらかの家にお客様でも来ていたのかなと思いました。
でも、時計を見ると午前4時です。
こんな夜更けに、女性が一人でどこへいくのでしょうか。
ヒールの音は、ゆっくりと近づいて来ます。
コツーンコツーンコツーン・・・
コツーン。
(え?うちの前で止まった?何で?)
私はぞっとしました。
小窓を閉めなかったことを更に後悔しました。
(小窓からタバコの火なんかを入れられたらマズイ!)
意を決し、窓の方を向きました。
窓には、細身の女性のシルエットが浮かび上がっていました。
(ヤバイ人がいる!)と思った瞬間、金縛りに遭いました。
無我夢中で金縛りを解くと、女性は消えていました。
通りすがりの幽霊だったのでしょうか。
それ以来、寝るときは必ず小窓を閉めるクセをつけました。
前のページ
1/1
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 6票
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。