より子ちゃん (クリスマス特装バージョン)
投稿者:kana (210)
でも、母にはより子ちゃんが見えないのだろうか?まるで気づくそぶりがない。
「お母さん…お母さん、あのね……あのね……」
深く静かにこの暖かい世界に溶けそうになりながら、ボクは母により子ちゃんを紹介しようとしていた。
・・・・・・
「ほら、もう帰るわよ。起きて」
母親の声でボクは目を覚ました。どうやら少し眠ってしまったらしい。
より子ちゃんもいなくなっていた。夢から覚めるとはこの事か。
ローズクウォーツはなくなっている。より子ちゃんが持ち帰ったのは間違いない。
こうしてボクは、ちょっとだけクリスマスイブを友達と一緒に過ごすことができた。
きっとこれもサンタさんからの贈り物だったに違いない。
サンタさんの贈り物はどうやらそれだけではなかったらしい。
ボクの体調はそれからさらによくなり、少しくらいなら走ることもできるようになっていった。
それから何度かより子ちゃんと会うことが出来た。
リハビリのために買ってもらった自転車で教会へ行くと、ボクのことを待っていてくれることもあった。
教会の門を入ると中は緑もたくさんあり、公園のように広かった。
ボクとより子ちゃんはよくそこで花を見たり、虫を見たり、木陰でおしゃべりして過ごした。ただなんとなくぼんやり空を眺めて、風に流れる雲を一緒に見たりすることもあった。
後から知ったことだけど、そこは実は教会とつながる女子高の敷地だったようだ。
たまにボクは自転車の後ろにより子ちゃんを乗せて、一緒に二人乗りで教会の外へ行こうと誘ったりもしたのだが、教会の門から外に出ようとはせず、いつもそこでお別れとなった。
「外はコワイ」と言うのだ。
教会の屋根の近くに不気味な悪魔のような像が座ってこっちを見ている。
いわゆるガーゴイルと言う奴だ。
(あいつが睨んでいるからだろうか…より子ちゃんが怖がるのは…)
・・・・・・
ボクはその後もどんどん体調がよくなり、元気いっぱい走り回れるようになっていった。
それまで体を使って遊べなかった反動からか外で運動することが楽しくなり、しだいに友達もたくさん増えていった。
反面、より子ちゃんとはだんだん会う機会が減って行った。
教会は女子高の敷地内でもあり、そのことも行きにくい原因のひとつである。
より子ちゃんと会えない時間が流れてく。
そんなある日、決定的なことが起きた。
中学も3年になったころだ。押し入れの中を片付けている時に、小学生時代にハマっていた鉱石採集セットが出てきて、あのより子ちゃんとのクリスマスイブのことが思い出された。
kamaです。
一部誤字脱字などを修正いたしました。また最初に6ページ目まで少し飛び出していたのですが、改行位置を改善したり余分な行を減らしたりして5ページに減量出来ました。
また、もともとの作品では小学生時代は「より子ちゃん」中学生~大人のセリフでは「頼子ちゃん」としていたものを「より子ちゃん」に統一しました。もしかしてどこかにまだ残骸が残っているかもしれませんので、万が一見つけた方はご報告よろしくお願いします。
素敵なお話でした。
↑kamaです。ありがとうございます。
この話はぜんぜん怖くないので、「怖いに投票する」ボタンが押しにくいですよねぇ。
よかったらかまわず押して行ってください。
先生、このシリーズ?も気が向いたら来年もたまに投稿するみたいな感じですか?
↑kamaです。先生ってボクのことですか?初めて言われたからこっぱずかしいです。
このお話は来年早々、少し動きがありそうです。
あと、実はこのお話には企画段階でいろいろなエンドを用意する案もありました。
まぁでも、割とファンの方もいますので、今のところはファンの方の夢を壊さないようにしたいと思っています。
解説ってあるんですか?
↑kamaです。
年初早々に動き・・・と書いたのですが、長くなってきていますので、
少し時間がかかっています。
あと、今回はクリスマスバージョンとして出したのですが、
クリスマスじゃない普通の話も出しておくべきかと思い、そちらも現在準備中です。
解説はまた回答編を用意しようと思います。