引っ越し先
投稿者:伽紅 (1)
短編
2022/12/10
07:50
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私が小学校に入学する時期に合わせて両親が新築の一戸建てを購入した。
私は引っ越しを大層嫌がっていたらしく、もしかしたらその時既に何か嫌な気配を感じ取っていたのかもしれない。
ある日の夜、風呂に入る為に浴室へ向かっていた。
家の間取り的に脱衣所の扉と浴室の扉が一直線上にある為、脱衣所に入れば浴室の鏡に姿が写る様になっている。
いつもの様に、真っ暗な中手を伸ばして、脱衣所の照明のスイッチを入れた。
風呂の栓を閉める為、風呂場へ向かおうとした時、鏡に写っている自分の後ろに女が立っていた。
顔は黒く長い髪で見えず、冬場にも関わらず肩が見える白いワンピース、両腕を前にだらりとさせながら佇んでいた。
私はこの見知らぬ女が何者なのかを確かめる為に反射的に振り返った。
しかし、振り返った先に女は居らず、見覚えのある壁しか無かった。
その後は、また女が現れるのではないかとビクビクしていたがその日は何も無く、その日以降も見知らぬ女を家の中で見る事は無かった。
そんな経験をした後、小学校で友人と話をしていた際に怖い話をする機会があり、この話をした。
すると近所に住んでいる友人が「さっきの話を聞いて思い出したんだけど…」と声をかけてきた。
曰く、友人は金縛りに合う事が度々あったが私の家が建ってから金縛りに合う事がピタリと止んだとの事だった。
もしかしたら私が見た見知らぬ女は、元々、友人の家に居た者だったのかもしれない。
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