エネエネババア(加筆修正版)
投稿者:kana (210)
と叫び声をあげながら
半裸のお婆さんが廊下を突進して来たのです!
しかもそのお婆さん、髪はすべて白髪で真っすぐ上に長く伸びており、
今で言うとジャン=ピエール・ポルナレフのような髪型で、
腰を90度に曲げた状態で頭から突進してきたのです。
「エネエネエネエネ!」と叫びながら。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
イトコはあまりの事に驚き、絶叫し、ドアを急いで閉めました。
その瞬間、ドアに「ドガッ!」と、強い衝撃が走りました。
背中でそれを感じたイトコは、もう一目散で駆け出し、
家まで全速力で逃げ帰ってきたのです。
「ええ~本当かよそれ・・・」
「本当だって!」
「うそくせぇなぁ~」
「お前も来いよ、もう一回確かめに行こうぜ!」
「いいよ、めんどくさい。寒いしよ~」
ボクはイトコの誘いを断りました。
実のところ半信半疑だったのです。
「エネエネババァ」ってなんだよ?
ちょっとクスリと笑いましたが、イトコはなんだか
ショックを受けたような顔をしていました。
どんな恐ろしい物の片鱗を見たのか知りませんが、
正直言うと、イトコはそれまでにもたまに嘘というか、
作り話をすることが多く、それほど信じてやる気にはなれなかったのです。
でも、ちょっと悲しそうな顔をしていたのが気がかりで、
少し悪いことをしたかな?とも思いました。
「エネエネババァ」の話題はそれくらいで消え、
夜になってイトコたち家族は帰って行きました。
それからすぐに北海道の寒く厳しい冬がやって来て、
この話もすっかり雪に埋もれて忘れ去られていきました。
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