生首を連れた男
投稿者:神助 (16)
私が以前働いていた某紳士服店には毎日何かしら居ました。
その何かとは、所謂【霊】です。
恐らく原因は店内にある複数の姿見のせいだと思う。
お客様が試着した際よく見えるよう常に合わせ鏡になっている。
そのせいで道が出来ているんだと思う。
しかもこの店舗は従業員が6人しか居ないにも関わらず、私を含めて視えてる人がなんとと4人もいた。
なので日常会話で「あ、あの階段の下の女の人こっち見てるね」とか「足の悪いおじいさん、勝手に椅子に座ってるんだけどwww」など当たり前のように言いあっていた。
よく見かける霊は階段下の赤黒い女性、店内を徘徊する足を引きずった小柄なおじいさん、
2メートル級の何故か顔の見えない男性、バーコード禿の5~60代のおじさんetc
ここの霊たちは居るだけで特に目立った悪さをしたこともなかったので、特に怖いとも思った事はなかった。
あの人が来るまでは。
そんなうちの店舗に新しく副店長として異動してくることが決まったIさんという人がいた。
その話しを聞きみんな不思議がっていた。
「何でこの時期に?」「しかも大型店舗からこんな東京の外れの小さい店舗に」
「もしかして訳アリで上に飛ばされてきたんじゃない?」
色々な憶測が流れる中、ついにその日がやってきた。
朝の朝礼で店長が皆に紹介する。
Iさんは店長より一回り以上年上。
「Iです、今日からよろしくお願いします。」
う~ん、とりあえず普通?かな。
それからIさんが何か普通じゃないと気付くのにそう時間はかからなかった。
繁忙期も過ぎた為、お客さんはあまり来ない紳士服店あるあるの状況。
商品整理やディスプレイをセットする私たち従業員。
するとIさん「あー、これがね、うんうん。そだよね。」
⁈
近くにいたパートのTさんが「え?何ですか?」
てっきり話かけられてると思い聞き返す。
するとIさんは「あ、何でもないです。気にしないで下さい。」
と、ちょっと焦った様子で返事をしました。
ああ、このひと独り言いうタイプなんだな。私はなんとなくここで悟った。
どういう事情…