誘いこむ甘水
投稿者:ぴ (414)
気のせいかと思って遊んでいたらまた「私と遊ぼうよ」と女の子の声がするのです。
私が遊んでいる友達はだいたい男の子だったので、その声に驚いて見回してもその姿は見えません。
声は聞こえるはずなのに、その声の主はいつも姿を見せませんでした。
そういうことが何度かあって、母に「耳がおかしい」と相談しました。
すると母は何か勘違いしたようで、すぐに耳鼻科の予約を取って病院に連れていってくれました。
しかし診察してもらっても私の耳に特に異常はありません。
検査もしてもらったけど、正常で問題はなさそうと言われました。
そこで詳しい事情を聴かれたので、私は自分に最近起こっている耳鳴りや不思議な声の話を素直にしたのです。
嘘偽りなく、本当のことを話したつもりでした。
だけど耳鼻科の先生は「怖いね~」と冗談めかして言っていて、横で話を聞いていた母にはなぜか拳骨をもらいました。
私としてはその大人たちの反応は理不尽で納得いかないものでしたが、それも仕方ありません。
二人とも私の話をまったく信じていなかったようでした。
私はそんな母の対応にムスッとしていて、家に帰ってきてからはかなりご機嫌ななめでした。
本当のことを言っただけなのに、理不尽に怒られたことが納得いかなかったのです。
母も母で病院に連れて行ったら、娘が作り話をし始めたことで恥をかいたとご立腹だったそうです。
私と母は小さな喧嘩をして、その日は眠りにつきました。
疲れていたのかその日は何の夢も見ないで、ぐっすり眠ることができました。
翌日私は学校に行って、友達と遊んで元気に家に帰宅しました。
そしてすぐに近所の悪ガキたちが集まる秘密基地に遊びにいったのです。
いつもなら誰かしらそこで遊んでいたりするのですが、その日は不思議と誰も来ていなかったのです。
しばらく暇で一人でぼーっとしていたら、急にいつもの耳鳴りがしました。
耳がおかしくて、しばらく耳の異常に顔を歪めていたのです。
そしたら、あの声が聞こえてきました。
いつも聞こえるあの声が「森の奥を探索しに行こう!」と誘ってきたのです。
誰か友達が来てからにすると、私はその声に答えました。
だけど、その声は「ねえ、行こうよ」「暇でしょ?」「冒険したくないの?」としつこく言ってきます。
あまりにしつこいので、私はふと森の奥を少しだけ探検してみようと思ったのです。
しばらく森を行くと、すごくきれいな小川が見えてきました。
こんなところに小川なんてあるんだと私は驚きました。
そこを流れる水はとても綺麗で、宝石みたいにキラキラしていました。
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