狩り宿の男 (加筆修正版)
投稿者:kana (210)
またしばらくして、傷口が治ったところで仔犬を山へ連れていきました。
ところが・・・と言うか、当然と言うか、二本足になった仔犬は
走るどころかまったく動けなくなっていたのです。
これでは犬を預けてきた歯医者に言い訳もできない。
そもそも役に立たなくなった猟犬に無駄飯を食わせておくわけにはいかない。
そう思ったノテさんは、仔犬の残った足も切り落とし、
最後には頭も切り落とし、解体して犬鍋にして食べてしまったそうです。
120万円の犬鍋です。
骨は裏庭に埋め、歯医者には山へ走っていってしまい行方不明になったとごまかしました。
ただ、犬を食べたノテさん。その後はほかの犬たちがノテさんに吠えるようになり、
訓練がうまくいかず、とうとう犬の訓練は廃業に追い込まれたそうです。
それに、毎晩のように夢にうなされるようになり、
包帯でくるまれてイモムシのようになった仔犬が
夜な夜な布団に這い上がってくるそうで、ノテさんはそれを追い払うために、
いつも寝床の横に鉈を置いて寝ることにしていたそうです。
深夜、鉈で空を切る狂気の姿を思い浮かべると、哀れでしようがありません。
人の道を外れた報いでしょうか。
…実は、ノテさんはこの後死体で発見されることになるのですが…
死ぬ前に、寺の住職に事の詳細を話しており、犬の呪いを祓ってほしいと
相談していたそうです。
住職さんは、自分だけでは判断できないからと、まずは寺の本部にかけあってみるので、
今はこれだけ…と言ってお経を上げ、その場は一旦帰ってもらい、
後日お祓いをする約束をしていたそうです。
結果的に間に合わなかったようですが…。
果たして、ノテさんの死は呪いのせいだったのか、今となっては誰にもわかりません。
kamaです。このお話はずいぶん前に書いた作品を、できるだけわかりやすく短めにまとめた加筆修正版です。仔犬への虐待シーンなどがあり、不快に思われた方もいるかと思いますが、この部分は実話を元にしている部分でもあり、そのままの状況を書かせていたただきました。
ご冥福をお祈りします。
kamaです。
こちらのお話の解決編として「-事件記者 朽屋瑠子-」という作品も書かせていただきました。
合わせて御覧ください。