奇々怪々 お知らせ

呪い・祟り

kanaさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

恐怖! 地獄極楽夜行バス
長編 2022/10/27 19:17 17,776view
5

それも以前似たようなものを見たことがある。
高校の生物の時間にビデオで見せられたカエルの解剖で、
身体の外に出された肺が大きく膨らむ様子とよく似ている。
つまり、これはIちゃんの肺なのだ。
男はその肺をめいっぱい天高く引っ張り上げ、ゲラゲラと大声で笑いだした。
「ほ~ら、まるで蝶々の羽のようでしょう?アハハハハハ」
その瞬間、ボクの吐き気は頂点に達し、思わず席から立ちあがった。
動ける!そう思ったのと同時に走ってバスを降りた。
ボクはそのまま無我夢中でトイレに駆け込み、そこで思い切り吐いてしまった。
…どうやらボクの意識はそこでとぎれてしまったようだ。

どれくらいたったのだろう。
気が付くとボクは救急車の中にいた。
ボクの彼女が泣きながら抱き着いてきた。
(あぁ、そうか…ボクは倒れて救急車で運ばれているんだな)
彼女がここにいるってことは…
「あぁ、申し訳ない。もしかして、旅行キャンセルになっちゃった?」
「そんなのどうでもいい」泣きじゃくりながら彼女が言う。
あーあ、なんてこった。
彼女にどう説明すれば良いのだろう。
ボクが見たのはとても現実とは思えない。

幻覚でも見たのか?
あの男が最後に見せた蝶になったIちゃんの姿。
真っ黒なあの男の不気味さ。
思い出すのはやはりあの幼少期のトラウマになった
蜘蛛とアゲハ蝶のことだ。
彼らが今になってボクに仕返しに来たのだろうか…。

深夜の救急病院で点滴を受けながら結局朝までそこにやっかいになり、
ボクらは旅行をキャンセルして家に帰ることにした。

帰りの駅の待合室のテレビで、朝のニュースが流れていた。
ボクらはそれにくぎ付けとなった。
「未明の事故、バスが横転、炎上…現在も救助活動が続いています」
それは僕たちが途中まで乗って来たバスに間違いなかった。

5/6
コメント(5)
  • だが、~~
    という切り返しが3回くらい続いた場所があったので、
    編集させていただきました。

    2022/11/02/21:04
  • バイキングの残忍な処刑方法に、背中から肺を取り出して広げる
    「血のワシ」と呼ばれるものがありますが、これはその応用ですね。

    2022/11/16/21:33
  • kamaです。
    こちらのお話の解決編として、「【クモ男事件】-事件記者 朽屋瑠子-」という作品を書かせていただきました。合わせてご覧いただくとより楽しめるかと思います。
    よろしくお願いします。

    2023/01/01/16:39
  • Iちゃんで抜いた後に魂が抜けるということか…

    2023/04/05/15:02
  • ↑Iちゃんで抜いた。。。抜いた?

    2023/10/27/14:42

※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。

怖い話の人気キーワード

奇々怪々に投稿された怖い話の中から、特定のキーワードにまつわる怖い話をご覧いただけます。

気になるキーワードを探してお気に入りの怖い話を見つけてみてください。