行方不明になった友人の話
投稿者:七色 (4)
後は本当に写真に写る民家に行くかどうかなのだが、次の休日までにAの両親から連絡が来なければ行ってみようと思った。
だが、流石に一人でこんな雑草に囲まれた民家に行く勇気も無いので、俺は誰か一緒についてきてくれないものかと友人の顔を思い浮かべる。
そうだ。
こんな時こそBがいるじゃないか。
そこで閃いたのはBと言う、俺とAの共通の友人だった。
そんなBも確か一度心霊スポットに行ってみたいと話していた事を思い出し、この機会に誘ってみる事にした。
Bに「Aが最後に行ったっぽい廃屋に行ってみないか?」との内容のラインを送ると、約1時間後くらいに「面白そう、いいね」と返事が来た。
そしてその勢いのまま、Aの両親から連絡が無ければ次の休みに決行する旨を伝えると「りょ」と略式の返事が来たので、ちょっとした冒険心から不謹慎だがワクワクしていたと思う。
そして、結局Aの両親から連絡が無いまま休みの日を迎える事になる。
一先ずAの両親の事は先送りにして、俺はBと最寄り駅で落ち合い、その足でAが最後に訪れたと思われる民家がある最寄り駅を目指して出発した。
「Aってマジで失踪したん?」
「いや、俺も良く分からん」
BもAと連絡がつかずに結構心配している口ぶりだったが、俺自身他の奴等と同様に何も背景を知らないので答えようが無い。
ただ、俺宛に変な動画が送られてきた、Aとはただそれだけの関係なのだ。
電車の中で俺とBはAの話題で花を咲かせていたが、Bは心底Aの事を心配している様子が窺えた。
そんなBに動画を見せれば、「何か気味が悪いなコレ」と渋い顔をしていたが、何かAから隠されたメッセージじゃないかと数十分の間動画を隈なく観察していた。
収穫は無かったが、ただ一言「これ誰が撮影したんだろうな」と零した。
約二時間半をかけて例の平屋がある町に到着すると、四方が山に囲まれていて圧倒される気分だった。
駅周辺でよく見かけるネオンで着飾ったパチンコ店や大型ショッピングモール、ファストフードのチェーン店といったものは皆無で、閑散と拓けたザ・田舎といった印象の町並みだった。
目立つのは郵便局とか薬局の看板で、駅周辺から少し歩けば既に民家や田畑が広がるような場所。
Aはこういう所から離れた場所にある廃墟とかよく巡っていたな、と思い出す。
「で、どっちの方向?」
「ちょっと待って」
Bに急かされて俺は地図アプリを開く。
幸い住所は分かっているので、入力した後は自動的に生成されたルートを辿っていくだけなんだけど、アプリが示す方角は人間の生活感が感じられない山の方角だった。
駅から歩く事数十分。
自然豊かな町並みは数十メートル間隔で民家は立ち並ぶものの、進めば進むほどその数は減少していき、山の入口と大差の無い生い茂った森林へと突入していく。
いつの間にか舗装もされていない土道を歩いているが、時折、変色したトタン屋根の納屋なんかが点々と見かける辺境に出る。
ただ、現在も使われていると思われる軽トラやトラクタを見かけたので、僅かながら人の出入りを感じる事は出来た。
問題は、アプリが示すルートがこれらより一層深く入り込んだ半分山に埋もれた道の奥という事だ。
読み応えあって面白かったです。
そういえば廃墟系のYouTuberで実際に行方不明になった人いませんでしたっけ…
心情の表現や状況を表す言葉が秀逸で、洒落怖ばりに鬼気迫る恐怖が凄く伝わりました。廃墟系YouTuberの方々にも周知させたいお話ですね。
長編なのに読んでいてしんどくない。細部の描写が凄いです。風化して粉まみれのボタンで感動しました、これは知らないと書けない…
その廃墟、第二の犠牲者が出ない事を願うばかりです。
恐ろしい体験でしたね。
気を強く持たないと。
その時の様子が鮮明に想像できます。細かい描写で分かりやすい。
絶叫しそうになった
めちゃくちゃ面白い
映像化してほしいくらい
凄く怖いかったです。この話は良かった。
いつか読んでる中でダントツ怖い。
ほんまにこえぇわこれ
ここ数年で1番怖かったかもしれない
文体に独特の書き癖があってときどき気にはなるが、内容は怖かった。
例のミイラ男がAなのかな?
とにかく読ませる怪談。今時パスワードや指紋認証ロックしていないAのガバガバさぶりはアレだが
怖すぎる…家の玄関が誰もいないのに明かりがついたことあるけれど
それ以上怖い…
今まで読んだ中で1番怖かったかも
若干最後の方に蛇足感じたけど面白かったわ。ありがとう。
低学歴ワイ、意味を知らない言葉複数あり
役所で名前が記録されていればおおよその事は分かるはずだよ、日本人なら
怖いねえ
大丈夫。ずっと見ているよ
マジで怖かった。傑作
あの頭部はAのものではないの?
Aと同じセリフを履いたよね。
そーやって呪いが繰り返される展開を想像した俺はこーゆーの身過ぎかね
Aは怪異から逃げ続けているから会えないのではないか
傑作。昼に出る怪異はガチ勢というが、まさにという感じ。
ビデオ動画、LINE、天袋に襖といった、正統ホラーの技巧にワクワクさせられつつ、2方面戦線からの合体という驚きもあって。
とても面白かった。
あかんめっちゃこわい
映像化してほしい