ついてくる球体
投稿者:youchi (13)
短編
2022/09/05
22:12
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小学校4年生の時でした。
冬の日の夕方、日暮れ前のことです。
母に頼まれてパン屋へ買い物に行きました。
家を出て最初の角を曲がった時、ふと空を見上げると、遠くにキラッと光るものが見えました。
年が明けて間もなかったので、誰かがゲリラカイトでもあげているのだろうと思って見ていると、その光がこちらの方へ向かってきます。
そして、隣家の屋根の上でピタッと止まりました。
よく見ると野球のボールくらいの大きさの球体です。
〈なんだろう?…〉
立ち止まって凝視しましたが、光る球体もそこに留まっています。
二、三步歩いてみると、球体も着いてきます。後退りしましたが、やはり私の動きに合わせて後方へ移動してきます。
何メートルか走ってみましたが、同じようにスピードをあげて追ってきました。
もう一度、立ち止まって球体を見ていると、突然、ビューンとものすごい速さで飛んで行ってしまいました。
私は球体が飛び去った方向を見つめて、しばらくその場に立ちすくんでいました…
あれから数十年が経ちましたが、その光景を時々鮮明に思い出します。
あの光る球体は一体何だったのでしょうか。
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