奇々怪々 お知らせ

不思議体験

漁師スープさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

町中華のおっさん
短編 2026/08/13 16:15 25view

仕事である県に引っ越して来てから2年ほど経つんだけどさ、休みの日はいつもマンションからすぐのところにある町中華屋で昼メシを食ってるんだよね。店もすごく「昔ながら」って感じの小さい佇まいで。味付けはかなり甘めなんだけど、そこが何を食っても美味くてさ。

ネットで調べてみたら、どうやら大将のおじいさんが昔この地域で有名だった中華料理屋で修行をして暖簾分けで作った店らしく、今では息子?だと思うんだけど、40歳ぐらいのおじさんと、同じ年齢ぐらいの女性が二人、その四人で回してるっぽい「いかにも家族経営」って感じのお店で、地元でも結構有名店っぽいんだよね。

仕事の昼休みに行くといつも混んでるから俺はもっぱら休みの日に、しかも客が少ない時間を狙って15時ぐらいに行くんだけど、、、いつ行っても先客が一人いるんだよね。頭のハゲ散らかした(ツルツルではない)おっさんなんだけど。

一人客は普通、店の入り口近くの短いカウンターで食べることになってるはずなんだけど、その人はいつも店の奥にある座敷席を贅沢に陣取って一人で飯を食ってるんだよ。こっちのカウンターがかなり狭いから、この人ちょっと羨ましいな〜と思わなかったこともないんだけど、さすがにいつもいるからさ、地元の常連か大将の知り合い?実はまさかここの家族だったりして?なんて想像したりしてたんだよな。でも、そのすぐ近くで店員はみんな座敷にあるテレビ(この時間はいつもワイドショーが流れてる)を観ながら談笑してるんだけど、そのおっさんが話す声は聞いたことが一度もないんだよな。まるで仲間はずれみたいな感じで、この人と店との関係性がまるで分からなくて違和感はあった。もちろん俺はそのテレビ談笑の輪に入ってる訳じゃないから分からないけど、接客を見る限り、お店の人はみんないい人なんだけどね。不思議なんだ。

そんなある休みの日、またいつものようにこの店で遅めのお昼ご飯を食べたんだけど、そのおっさんがまた座敷でなんか食っててさ。その頃には俺も、いつも食べてる定食メニューにもさすがに飽きていていて、このおっさんが毎回美味しそうに食ってるメニューがなんなのか気になってきたんだよな。それで店の奥で会計をしてるとき、お釣りが返ってくるまでの一瞬の間に、初めてチラッと座敷の方に目をやったらさ、そのおっさんの目の前のランチプレート、虫で山盛りだったんだよ。ハエだとかゴキブリだとか、そこまではっきり見て分かったわけじゃないんだけど、生理的に一瞬で「無理!」ってなるようなビジュアルの集合体だったんだよ。その後すぐにお釣りを渡されて、俺もいつもみたいに「ありがとうございます〜美味しかったです〜」とだけ言ってすぐに店を出ちゃったんだ。

あの光景、さすがに俺の気のせいだったと思いたいんだけど、あまりに見えたものがキモくてさ。ずっとアットホームな店だと思ってたけど、なんかその闇を垣間見たような気分で…。

それから怖くてこの店には何週間か行けてないんだけど、今度もう一回だけ、確かめに行こう思う。あれがただの勘違いだったとしたら、それで行きつけの店を一つ失うのも嫌だなあと思うし。

1/1
コメント(0)

※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。

怖い話の人気キーワード

奇々怪々に投稿された怖い話の中から、特定のキーワードにまつわる怖い話をご覧いただけます。

気になるキーワードを探してお気に入りの怖い話を見つけてみてください。