壮絶ないじめの果てに
投稿者:youchi (13)
長男を出産する一ヶ月ほど前。実家に立ち寄ると、何故か中学校の同級生だったMが来ていました。Mとは家が近所で塾が同じだったこと以外に何も接点はなく、仲が良かったわけではないので、卒業してから一度も会っていません。
一体、何故Mが家にいるのだろう?
そう思って母を見ると、相当困っている様子です。目配せをして別室へ行くと、母は堰をきったように話し始めました。
「急にあの子が訪ねてきて、かれこれ三時間くらい帰らないのよ。」
母の話によると、Mが突然家にやってきて花束をくれたそうです。母が少し前に入院していたことをどこかで聞いたのか、お見舞いだと言って花束をくれたのですが、その辺の道端で摘んだような花を、粗末な紙で包んであるものだったそうです。母は困惑しながらもお礼を言って受け取ったのですが、Mは「千円ちょうだい。この花を買ってしまったので
お母さんに頼まれていた買い物ができなくなった」と言って家の中に勝手にあがってきたそうです。母は動揺しながらも千円を渡すとMはさっさと財布にしまい、それから訳の分からない話を延々として帰らないのだそうです。
Mがくれたという花束を見ると、到底お店で買ったものではありません。雑草が束ねられているだけなのです。
Mの様子も変です。
私を見て「久しぶり」と言ったものの、私には全く感心がないようで、必死に母に向かって話しています。その間、ずっと体を前後に揺らしているし、こともあろうか人の家に来ているのに立て膝をしているのです。
中学校の時にはとても大人しくて存在感も薄かったけれど、こんな失礼なことをするような子ではありませんでした。
私が代わりにMの相手をしているから、すぐにMの家に連絡した方がいいと母を促し、母はMのお母さんを呼びに行きました。
その間、Mは金切り声をあげて話を続けます。
Mは高校受験に失敗して、私の住む地域では一番素行の悪い女子高へ進学しました。暴走族や校内暴力が横行していた時代です。Mが進学したK女子高は荒れに荒れていて、大人しかったMはいじめの標的になってしまったようでした。
「口の中に割りばしをたくさん入れられて死にそうになったの」
「トイレの中で制服や下着まで取られて裸にされたのに誰も助けてくれなかった」
耳を塞ぎたくなるような話をたくさんしていました。その間、立て膝をしてずっと体を揺らしながら…
しばらくして母がMのお母さんを連れて帰ってきました。
Mのお母さんは母と私に泣きながら謝り、Mがこんなにも変わってしまった理由を話してくれました。
K女子高では殺されるのではないかと思うくらい壮絶ないじめに遭い、一年たたないうちに退学したそうです。
その頃から同級生の家を訪ねては、母にしたようにお金を要求したり、家にあがりこんで帰らず、わめき散らして警察のお世話になったりしているそうです。
Mのお母さんは若くてとても綺麗な人だったのに、髪は真っ白で老人のような姿になっています。この七、八年の間にMやMの家族がどんなに大変な思いをしていたのか、想像するのは難しくありませんでした。
そんなことがあってから、ほどなくして私は長男を出産しました。
母子共に健康でしたが、慣れない授乳で寝不足になったせいか、入院中に熱が出てしまい、長男を看護師さんに預けて静養していました。
私が寝ていると、看護師さんが慌てて病室に入ってきました。
「面会にMさんっていう方が見えてるけど、ちょっと様子がおかしいのでお断りしてもいいかしら。」
出産でMのことなどすっかり忘れていましたが、血の気が引きました。。
だいたいこの病院で出産していることなどMに話していません。
怖くなってしばらく家族以外面会謝絶にしてもらったのですが、後から母に聞くと、家の近所の産院に電話して私が入院していないか確かめていたらしいのです。もちろん病院では電話の問い合わせに患者のプライバシーを話すことはありませんが、どうやって調べたのか、私が入院している病院がわかってしまったようです。
その時、Mは手紙と紙袋を置いて帰ったのですが、手紙には生まれた子供の性別など知る由もないのに何故か「ぼうや」と書いてありました。そして紙袋には母に持ってきた時と同じような雑草の花束と割りばしが入っていました…
感染症で
怖い怖い。更に 割り箸 怖いよぉ。
K女子、やばいね!
本人は悪くないのに………
いたたまれないです