いつもいる人

別に顔が似ていたわけではありません。

理由は背中にいつもいる人を張り付けてやってきたからでした。

どうやら急に雨が降ってきたので、傘を持ってきてくれたらしかったです。

すごく優しそうなお父さんで、その職員もいつもとは違うにこやかな優しい顔をしていました。

私はそれでやっといつもいる人が誰なのかに気が付きました。きっと職員の死んだ母親なのです。

おそらく亡くなってからずっと家族に憑いているのだと思います。

後で聞いた話ですが、その職員の母親も昔この病院で働いており、ものすごく評判が悪い人だったそうです。

いつも誰かを虐めており、たくさんの事務員がその人の被害を受けて辞めていったと聞きました。

でもそれと違って家族のことだけは特別に大事にしていたらしいです。

私はこの話を聞いて、あの職員が変わったのは死んだ母親に憑かれている影響なんじゃないかと思うようになりました。

私がそこで働いていた期間は育児休暇の職員が帰ってくるまでのごくわずかだったので、仕事を辞めたその後のことは知りません。

ただきっと今もその人の後ろにはいつもの人がいるんだろうなと思います。それがいいことなのか悪いことなのか分かりませんけどね。

あの日は母親の何回忌かだったらしいです。

家族に付き纏っているあの母親が早く成仏できるようにと願うばかりです。