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心霊

ソレイルさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

時給1300円のバイト
短編 2022/07/18 21:27 3,375view
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私はフリーターをしています。派遣サイトに登録して、単発で仕事を紹介してもらう形です。

ある日、私は派遣サイトで「軽作業、時給1300円、駅から送迎あり」という非常に条件のいいバイトの案件を見つけ、早速応募しました。

高時給なのでハードなのかと思っていましたが、いざ就業してみると作業内容はごく普通で、むしろ作業量が少なくて楽なくらいでした。

8時間勤務で日給は1万円以上。こんなにいい案件ならまた応募したいと、帰りの送迎タクシーの中でバイト仲間と話し合いました。

しかしその時、送迎タクシーの運転手の男性が、こんなことを言ったのです。

「実はここ、通り道が心霊スポットなんですよ」

私達はぎょっとしました。男性は続けます。

「駅を出てすぐの所に、橋があったでしょう。あそこです。

昼夜関わらず、青白い顔の女の人が欄干のところに立ってるんですよ。

その女の人と目が合うと、ちょっと大変なことになるんです。メンタルやられたみたいになったり。

だから時給高めにしてあるんですよ」

私達はまさかそんな話を聞かされるとは思っていなかったので、かなり面食らってしまいました。

私は勇気を出して男性に訊ねました。

「それ、本当の話ですか?」

「ええ」

「運転手さんは、心霊スポットを通って大丈夫なんですか」

「私は毎週お祓いに行ってます」

男性はふざけている感じではなく、淡々と「事情を説明する」ような口調でした。それがより一層、私達をぞっとさせました。

と、その時。

「あ、橋だ」

バイト仲間が前方を見ながら言いました。

私達の乗った送迎タクシーは駅の近くまで戻って来ており、その手前にある心霊スポットの橋が目前に迫っていたのです。

「あ、外見なければ大丈夫ですよ。外見ないで」

運転手の男性が私達に言いました。私とバイト仲間はとっさに顔を伏せました。

けれど少し遅かったみたいです。私の視界の端には、タクシーの窓の外がわずかに見えていました。

ずぶ濡れの、汚れて元が何色だったのか分からないワンピースのようなものを着た人間の下半身が、欄干のそばに立っているのが、はっきりと視界に入ってしまったのです。

いかにも幽霊という感じではなく、(姿は異様ではあるものの)背景に溶け込んだ普通の人間のように立っていたので、幽霊を見たという実感が湧きませんでした。

しかし、私はあれがこの世のものではなかったと確信することになります。バイトに行った翌日、私は急激に体調を崩したのです。

原因不明の頭痛と吐き気が一日中続きました。私はこんな体調の崩し方をしたことがないので、この体調不良は間違いなく、前日の出来事のせいだと分かりました。幸い不調は一日でおさまりましたが、本当に不気味でした。

運転手の男性は、女性と「目が合うと」大変なことになると言っていましたが、目を合わせてはいない私もこんなことになったので、やはりあの場所には近寄らないのが一番なのだと思いました。

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コメント(1)
  • これって実話ですか?ひさびさにゾクゾクした!

    2023/08/17/12:07

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