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不思議体験

ソレイルさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

腕が多い宇宙人のような奇妙なモノ
短編 2021/11/12 00:34 1,656view
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小学校の頃、私は長期休暇の度に母方の祖父母の田舎に預けられていました。

祖父母の家は古い木造で、私が自分の部屋として使っていた所を含め、すべての部屋が和室です。

そして、私の部屋の入り口のふすまには、洗面台の鏡くらいの大きさのすりガラスがついていました。

すりガラスなので、ガラスの向こうの景色はぼんやりとしか見えませんが、ふすまの前に誰かが立っている時は、人影がガラスに映るため、「あ、誰かいるなあ」と分かりました。

ある時、このすりガラスの前に、恐ろしいモノがやって来たのです。

その日は祖父母が珍しく2人とも出かけていて、家には私一人でした。

昼間、部屋で漫画を読んでいた私がふと顔を上げると、すりガラスに人影のようなものが映っているのが見えました。

「あれ、おじいちゃん?おばあちゃん?」

家には自分一人だと思っていた私は、少し驚きました。

知らない間に祖父母が帰ってきていたのだろうか。そう考えてふと私は、ある事に気が付きます。

人影の形がおかしいのです。

ぼんやりとした肌色の人影は直立しており、何故か両手を真横に広げていました。そしてさらに、

その広げた両手の下に、もう一対、手のようなものがあるのです。

人影はふすまの前で止まったまま、少しも動きませんでした。なので、その異様な形をした「影」は、私からよく見えました。

それを見て私はたじろぎました。

手が4本ある「何か」が、自分の部屋の前に、無言で立っている。

「落ち着け!何かの影が手に見えているたけだ。すりガラスだからハッキリ見えないし……」

私はそう自分に言い聞かせましたが、そもそもこの人影は誰なのか?祖父母だとしたら部屋の前にいる時はいつも何かしら声をかけてくれる。だったらこいつは、留守中に侵入した泥棒?不審者?それとも………

その時、ふと人影が動きました。

正確には人影の、4対ある手のようなモノの下から、

白い根っこのようなモノがニョキニョキと生えてきたのです。

白い根っこは、アニメで見る宇宙人の触手みたいにウヨウヨと動いています。

私はいよいよ怖くなって悲鳴を上げました。コレは人間じゃない、絶対にふすまを開けたら駄目だと直感しました。

私はふすまから離れて布団をかぶりました。そして、震えながら祖父母の帰宅を待ちました。

夕方くらいになって、祖父母は帰ってきました。私は「部屋の前に変なやついなかった?」と訊きましたが、祖父母は知らないと言います。

私は昼間見たものの事を話しましたが、祖父母は「寝ぼけてたんだろ」と笑いました。しかし、私はあの時寝ぼけていませんでしたし、断じて見間違いもしていません。

あの化け物のような、宇宙人のような奇妙なモノは、あの時確実にそこにいたのです。古典的な幽霊や化け物のような姿でなく、意味不明な姿形のモノだったことが、余計に不気味で恐ろしく感じられました。

私がそれを見たのは、その一回きりですが、今でもその部屋でふと顔を上げる時や、部屋の前に誰かがいてすりガラスに影が映っているときは、不安になってその形を確認してしまいます。

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