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心霊

マツシタさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

ゴミ置き場の女
長編 2022/07/03 07:57 3,916view
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小窓から外を覗くと、いつもの庭、いつもの道路、いつもの・・・
月明かりに照らされたゴミ置き場には、帰宅するときに見た女性がまだ立っていました。
その瞬間ドキリと心臓がなり、
「もう見てはいけない。」
本能的にそう感じて小窓を閉め、母が待つ寝室へ向かいました。
そんな事がありながらも、その夜は意外にもぐっすりと眠れたそうです。
翌朝、母に夜中にもゴミ置き場に女性が立っていたことを伝え、続いて祖母にも昨日の帰宅時の出来事から順番に話してみました。
祖母「そんな、馬鹿なことを言って。一体いくつなのよ。あんたの見間違いに決まっている。私は出かけてくるから。」
そう気にもしない様子で颯爽と出かけて行ってしまいました。

父と母もゴミ置き場の女性が気になるものの、仕事の支度をして出かけました。

もちろん仕事に行くにはあのゴミ置き場を通らなくてはなりません。
父はドキドキと胸の鼓動を感じながら、ゴミ置き場の前まで来ました。
(良かった。いない。)
ほっと胸をなでおろし、仕事に向かいました。

父の仕事が終わり、またバイクで帰宅しようとしていました。
ゴミ置き場まで来た時、やはりその女性は・・・いませんでした。
(やっぱり俺の見間違いだった。ちょっと疲れていたんだな。本当に良かった。)
父はもう昨晩の恐怖など忘れて帰宅しました。
帰宅すると、いつものように母と祖母が待っていました。
しかし、祖母からとんでもない事を言われたのです。

祖母「Y(父の名前)、実は私ね。あんたが話していたことが気になって、近所のAさんに聞いてみたのよ。」

そう、Aさんとはゴミ置き場のすぐそばに住んでいる人です。
祖母とは仲が良く、井戸端会議を頻繁にするような仲です。

ピンポーン
祖母「奥さん、急にたずねてごめんなさいね。ちょっと聞きたいことがあって。今時間大丈夫?」
Aさん『大丈夫よ、主人もいるけど全然暇。お茶でもしましょ。上がっていって。』
Aさん『ところで聞きたいことって何?』
祖母「こんなこと言うのは恥ずかしいんだけど、うちの息子が夜にゴミ置き場で女性を見たって言うのよ。二階のトイレからも見えたって。」
Aさん『えー、そんな怖いこと言わないでよ。寝られなくなるじゃない。でも、息子さんはそんなふざける子じゃなかったでしょ。気になるわね。』
祖母「そうなのよ。私も怖くなってきて。あの子、今までそんなこと一度も言ったこと無かったのに。私たちを怖がらせるために言ったって、どうも思えないのよ。」
Aさん『そうよね。うちの主人も呼んでくるから、今の話、もう一度してみて。万が一でもその女性と知り合いかもしれないし。』

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