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心霊

マツシタさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

ゴミ置き場の女
長編 2022/07/03 07:57 3,921view
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私の父親から聞いた話です。
実家は中国地方のとある田舎にあります。
家の前には山があり、隣の家とは比較的距離がある本当に何もないところです。
祖父が父の中学入学と同時に建てたのですが、平屋と二階建ての住宅が繋がった大きな家で、現在、父と母、そして祖母が住んでいます。
これを聞いたとき、私は大学生。親元を離れて生活していました。

ある冬の日のこと。
この地域の冬はとても厳しく、朝と晩は気温が氷点下であることが普通です。
そんな寒い夜、父がバイクを運転して仕事から帰ろうとしていました。
グローブをしていてもかじかむ手を我慢する程でした。

家の近くの最後の角にあるゴミ置き場を通り過ぎようとした時です。

(誰かが立っている。)
何か不自然さを感じました。
こんな寒い日に1人でつっ立っているからでしょうか。
でも、それとは違う何か違和感のようなものがありました。

通り過ぎるとき、「今日は何の日だろうか。町内会で何か当番があったのだろうか」と考えを巡らせていました。
そんな話は母から聞いていないけれど、当番を知らなかった手前、立っている人に申し訳ない思いがして目を合わさずに通り過ぎました。
(確か女性だったよな。)
ご近所さんの可能性が高いですし、声を掛けなかったことに後悔しつつもそのまま帰宅しました。

帰宅し、食事をしながら母に尋ねてみました。
父「ゴミ置き場のところに女の人が立ってたけど、あれ誰?」

母「今日なんかあったっけ?・・・いや予定表には何も書いてないけど。」
父「そうか、顔をよく見とけばよかった。雰囲気的に若そうだったけど、若い女の人なんて近所に居ないよな。」
母「あー、近所の人の息子さん、結婚したって聞いたし、お嫁さんかもしれないね。」
父「そうだったのか。まあ、あの時間に寒い中つっ立ってたのは理由が分からないから、ちょっと不気味だったわ。」
二人ともその女性に明確な心当たりがなく、近所のお嫁さんかもしれないけれど不審者という可能性もあるから気を付けようという結論になりました。

その夜、父は腹痛で目が覚めてしまい、二階のトイレに籠っていました。
父は昔からお腹が弱く、この様なことで目が覚めるのには慣れていました。
(また今日もこんな時間にトイレか。はぁ。)
二階のトイレの小窓は普段から開けていて、そこからは庭と家に面した道路、そしてかすかにゴミ置き場が見えます。
やっと父がトイレを終えて、小窓に置いてあるニオイ消しのスプレーに手を伸ばした時、ふと外が気になりました。
いつもなら気にならないのに、どうしても外の様子を見てみたいのです。

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