これは私が小学校の頃にあった話です。
私の田舎では「子供会」といわれる地域住民の大人たちが子供たちを遊ばせる趣旨の団体がありました。
夏休みになると、毎年恒例の子供会主催の肝試しがありました。
この肝試しで私はあるものを見ることになったのです。
肝試しに参加した子供たちは13名。保護者3名。合計16名で、近くのお寺で行われました。
山に囲まれたお寺で、周りにはお墓がずらりと並んでいます。
大人になった今でも、暗がりで訪れるにはすこし恐怖を感じるほど不気味なところです。
肝試しが始まるスタート地点にきました。
お寺のちょうど西側のところで、円を描くように座り、話を始めました。
座り込むと、お寺の縁の下がのぞき込める位置になりました。
そこには小さな鳥居と小さな井戸のようなものが見えました。
怖がりだった私はますます怖くなりました。
保護者の1人が人数を数えました。
「1、2、3、4・・・」
「あれ、、、1人足りないぞ。」
子供たちはざわつきました。
私もあたりを見渡しました。
50m離れた後ろのお墓にお参りしている少女を見つけたのです。
お墓にはろうそくのようにオレンジ色のぼんやりした光があって、
少女は真っ黒な影に見えました。
私は横にいた友人に言いました。
「ねぇ、あそこにだれかいるの、そうじゃない。」
「ん?」
といって振り返ろうとしたとき、
「あ、俺、数えてなかった。」
「みんな揃ってたね」
と保護者が言い、子供たちを笑わせたのです。
もちろん私は笑えず、
「え・・・じゃああの子は誰なの」
と思い振り返ると、
さっき見えたオレンジ色の明かりは消えていて、真っ暗になっていました。
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