のっぺらぼうの男
投稿者:千心 (17)
患者: うん、いるから見ない方がいい
私: 分かった見ない様にするよ
そんな会話を数分した後に男の幽霊らしき人物は急に姿を消しました。
何故私の背後に立ち、しかも怒っていたのかさっぱり検討がつきませんでした。
それからは何事もなく夜勤が終わりました。
その日の出来事を同僚達に話すと、全く同じ経験をしたと言う人が何人かいました。場所がナースステーションではなくホールという人もいれば、廊下で体験したと言う人も、場所は様々で言われた患者は同じ人だったり違う人だったり、ですがその「のっぺらぼう」に何かをされたという人はいませんでした。
より一層何が起こっていて何故なんだろうと疑問がわきました。
ですが私が体験したのはこの一回だけでしたが他の同僚は何度か同じ体験を繰り返しているそうです。
この体験から半年ほど経った時に中途採用で中年の女性職員が入職してきました、仕事にもなれ皆んなと打ち解けてきた頃に雑談をする中で、これまでの病院での不可思議な体験の話になりました、どうやらその中年の女性職員は霊感があるみたいで、よく幽霊が見えるという事です。
私たちが何となく気持ちが悪いと感じている場所も「〇〇(場所)は何か黒い物が見えますよ」と言ったり「あそこは私も息苦しさを感じます」「あなたには祖父が守護霊となって守ってくれていますよ」などと霊感がとても強い見たいです。
私たちは以前体験した「顔がのっぺらぼう」の話を女性にしたところ、彼女の中で何かが繋がったらしく少し間を開けて「やっぱりそうなんだ、私にも何回か見えていましたよ」「顔がハッキリ分からなくて、それが患者さんからしたらのっぺらぼうに見えたんでしょうね」
私たちは何が起こっているのか問うと「その患者さんはあまり良い思い出が無くて死んでいったのかもしれないです、例えば職員から意地悪されていたとか、何か恨みでもかうような仕打ちを受けていたとか、、これはあくまでも仮説ですし職員に実害が出ていないのであれば何かを訴えたいのかもしれないです、それで成仏が出来ずにいるのかも」「顔がハッキリしないのはいくつか理由があって、例えば交通事故で顔がグチャグチャになってしまった人だったり、顔に大きな火傷をおってしまったり、何かしら顔に対して不便なことがおこった事が原因でハッキリしない事があるんですよ」と。
そんな話から、職員が仮に意地悪をしていた事があったとしても昔の話では確認するすべもなく、病院自体も50年以上前に開業された病院なので過去に何があったのかを知る人もいませんでした。
昔の話ということ以前に彼女の話自体が信じがたく、そして裏付けする事は出来ません。ですが私たちに何かできる事はないのだろうかと彼女に問うと「綺麗な花でも置いてあげると良いですよ」
「それと甘い物が好きな人だったかもしれないので饅頭だったり和菓子をどこかお供物として置いておくと良いかもしれません」とアドバイスをもらいました。
早速、私たちは造花と饅頭を購入して廊下の隅に他の患者の目に触れない場所に置く様にして成仏してくれる事を祈りました。すると不思議な事に患者さんからも「のっぺらぼうは見なくなった」と、他の同僚に聞いても不思議な体験はしなくなったと明らかに不可思議な現象が無くなった事が分かりました。
彼女の話が本当だったのか、過去に何があったのか、のっぺらぼうの人はどんな人物だったのか、お供え物が効果があったのか、そして成仏したのか、定かではありませんが不思議な現象がおさまった事には変わりありませんでした。
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。