走り屋ごっこをしてた頃
投稿者:のみのみ (2)
怖い話ではないがちょっとでも自分の運転を見直してほしい、そんなお話。
数年前まで私は夜な夜な山道を走ったり、人気のない湖に仲間とたむろしてみたり、いわゆる走り屋のようなことをして楽しんでいた。
走り屋さんじゃなくとも名前を聞けば「あぁ、あそこか」となるような有名な道をよく友人と走り回った。
心霊的な怖い経験は私には無いが、よく目撃してしまう事故が怖かった。
夏場はよく霧が出た。
私も友人も「霧が出てても全然行ける!」というくらい走り込んでいたが、前を走る車に気付いて避けられるか…と問われると自信は無かった。「霧が出たら走らない」誰が言ったわけでも無いが何となくそうなっていた。
霧が出る。誰かが事故を起こす。
毎週末の出来事だった気がする。
今では騒音の問題だったり、やっぱり死亡事故があまりにも多かったこともあり、ほぼ毎日のように夜はお巡りさんが回っている。
一斉摘発なんて言うのもあって、知り合いも何人か免取になった。
免許を取ってすぐに山に行くようになった私は、そこで何度も事故を見た。
走ってる途中で事故ってる車を見付けたら発煙筒を焚いて、後続車を誘導したり……そんなスキルも身に付いた。
ガードレールに刺さった車。
どこかにぶつけた拍子に炎上した車。
バイクの事故なんて、ほぼほぼ死亡事故だった。バイクがガードレール下に入ってしまい、首がちぎれる…そんな事故もあった。
名前は知らないけどいつもいる子だ…そう思うとかなりキツいものがあった。
立派な車やバイクに乗ると飛ばしたくなる。私もそうだったから全否定は出来ない。
ひっくり返った人気スポーツカー。必死に助手席へ呼びかける運転手であろう若い男の子。助手席の壊れたガラスからだらんと出ている腕。
助手席に乗っていたのは女子高生で、運転手の彼女だったようだ。
免許を取って、彼女を乗せて、かっこいいところを見せたかったんだろう。
どんなに呼びかけても、彼女の指先さえ動かなかった。
そんな経験を経て、今では私たちは湖畔で集まっておしゃべりを楽しむようになった。
何となく決まっていた「100%では走らない」「ついて行こうとしない」「霧が出たらやめる」…があったお陰か、仲間内の事故は無かった。(とは言っても公道を爆走してたのでアウト)
車の事故は誰でも起こす可能性はある。単独かもしれないし、人を巻き込むかもしれない。
自分が死ぬかもしれないし、誰かを殺してしまうかもしれない。
シートベルトは後部座席の人もちゃんとしているか。
チャイルドシートはその子の月齢、年齢に合ったものになっているか。
自分の運転技術を過信していないか…これだけは確認してほしい。
彼女の指が動かないのは亡くなっていたからですかね?