恐怖体験のせいで引きこもり生活になった話
投稿者:with (43)
すると、背後から「たくくん!」という声が聞こえたので、誰がたくくんだよと思いながら振り返れば、コンビニ前にいたおばさんが白い獣、通称としおくんへ駆け寄り抱き締めた。
そいつ幽霊だよ、と心の中で忠告したが、どうやらちゃんとした人間だったようで、としおくんはこのおばさんの息子だそうだ。
「もう、あんたはちょっと目を離した隙にこんなとこまで!危ないでしょ!」
おばさんはとしおくんの両肩を掴んで揺さぶっていたが、既にここに被害者は居て事件は起きてるんだよ、と俺は密かに思った。
としおくんを叱った後、おばさんは俺へ向き直り深々と頭を下げて謝罪してくれる。
どうやら、としおくんは精神障害を持っているらしく、おばさんが自宅でケーキを作っている最中に便意を催したとしおくんがトイレに行きたいとキッチンにやってきたそうだ。
としおくんは全裸にならないとトイレができない体質だそうで、服を脱がして後はパンツ一枚となった時、少しテンションの高かったとしおくんの足が縺れて転んだ拍子に小麦粉の入ったボールを頭から被った。
そして、パニックになったとしおくんは部屋中を駆け回った後、運悪く鍵を掛け忘れた玄関から外へ逃走したと、おばさんは早口で教えてくれた。
つまり、としおくんはトイレに行きたいが為に自力でコンビニまでたどり着いたのだ。
意外な共通点に妙な親和性を抱きそうになったが、俺はそのとしおくんのせいで転んだことを思い出し、少しだけ怒った顔で、
「ちゃんとお子さんを見て上げてください」
と、それらしく怒った。
因みに、としおくんは高校生らしい。
俺が未だ座りながらそう言うと、としおくんは相も変わらず『ペェェンチ!』と叫ぶだけだった。
こいつ、反省していないなと思うも、おばさんの翻訳ではどうやら「パンツ脱がして」と言っているらしい。
元々トイレに行きたかったらしいし、そりゃそうだよなと納得して俺は漸く立ち上がる。
おばさんが再度深々と頭を下げるが、俺はそこまで嫌な人間じゃないと自負しているので、「もう気にしないでください」と爽やかに許した。
ポトリ。
その瞬間、何か茶焦げ色の固形物が幾つか床に転がる。
俺とおばさん、としおくんまでその丸みの帯びた丸っこい固形物に視線を落とす。
そして、タイミングが良いのか悪いのか、漸くバイトらしき店員が恐る恐るといった表情で「すみません、入口の前ですので……」と割って入ると、その固形物に注目した。
ポトリ。
今度は長めの固形物が床というリンクに参戦すると、彼等の視線が固形物の落下先を辿るように俺へと注がれる。
そういえば俺もトイレに用事があったと思い出すが、床に転がる脱力の根源を見て、どうにも何も言えなかった。
ただ、もし神様が居るのなら、俺のお尻の辺りに感じる温もりの正体をどうか明かさないでほしい。
そんな俺の小さな願いは届くはずもなく、おばさんは物凄く気まずそうに「あ、あの、男物の下着を、一つください」と店員に訊ねており、店員は「え、マジ」とか口ずさみながら頭を抱えていた。
そして、すべての元凶であるとしおくんはいつの間にかブリーフを脱ぎ捨ててコンビニのトイレへ駆け込む後ろ姿があった。
残されたのは、迷惑そうに箒と塵取りを持ってきた店員。
ざわめきだす客。
飛び交う野次の中、おずおずと新品のトランクスをレジ袋事俺に差し出すおばさん。
膨らむお尻。
勢いに草
面白かった!
こわい
こういうの好き
ペェェェンチ ペェェェンチ ww
ペェェェンチ…ペウェェェンチ…ウェェェンチ…ウ○チ…💩💩💩
としおとやらなんか無視してトイレ行けばよかったのに。
怖かったと思う。
経験上、行きたくなって出て来るモノは固形物ではなく、固形から液状になった物体だと思われます。そのため、間に合わなかった場合、ロボット歩きになるはずです。
怖い話だと期待して損したわ(褒め言葉)
経験上トイレに行きたい時に全速力は無理。そしてトシオの家にはトイレないんか?最後に主人公はブリーフ派に転向な!