喪服を着た男性にお願いされたこと
投稿者:ちぃ (7)
短編
2022/05/01
12:15
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私が中学生の時の話です。
視力が両目合わせても0.7もなく、眼鏡っ子でした。
当時、いじめが酷く、毎日泣いて下校する日々でした。
唯一の趣味は走ること。マラソンが好きでよく近所を走っていました。
クラスメイトにメガネを壊されて、ぼやけた視界で走っていると、線路脇で小さな男の子が一人で遊んでいる姿が遠目からでもはっきり見えました。
『危ないよ!もう少し離れて!』
と声を掛けても聞こえないのか何か探していた。
次の朝、登校する時も男の子は同じ場所にいました。
下校する時も、同じ場所で何かを探していました。
『どうしたの?大丈夫?』と、声を掛けてもニコニコ笑っているだけです。
田舎なので、電車の本数も少ないのですが、場所が場所だけに、危ないから離れてね?と、何度も念を押しました。
一週間くらい、そんな感じで声を掛けていたある日の夜、布団で寝ていた枕元で喪服を着たサングラスをかけた男性が正座して私に頭を下げていました。
・・・誰だろう? 不思議と怖くはなかったです。
男の子を助けて下さい。あの子は自分が死んだ事を知らないのです。
え!? と思って目が覚めた。喪服の男性は居なかった。
10年前に男の子は、電車に轢かれて死んでしまったと、後で聞きました。
喪服の男性を見てから、男の子の姿は見ていないです。
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