閉鎖病棟の車椅子
投稿者:ちぃ (7)
病院で事務員をしていたときの話。
そのとき私は看護師を総括する部署で仕事をしていた。
入院病棟ではそれぞれ車椅子を保有していて、たまに他病棟に紛れたり検査室に置き去りにされていたりして、朝から「行方不明なので探しています」とういう連絡が来ることがあった。
その日も6階の車椅子が1台足りないとのことで、私は各病棟や検査室などに、6階の車椅子を探していますとのFAXを送った。通常ならお昼頃までには見つかるのだがその日はそうではなく、夕方になってようやく、「探しているのって6階のですよね?」と連絡が入った。連絡をくれたのは研修担当の看護師で、日勤終わりで行う研修の会場準備をしようとしたところ、車椅子を見つけたとのことだった。
車椅子は閉鎖された13階病棟の廊下にポツンと置かれていたそうだ。
いずれ特別病棟に改装予定の13階病棟は、普段厳重に施錠されている。防火扉を完全に閉めて、警備室から総務課保管の鍵を使わなければ出入りできない。警備室と総務課に問い合わせたが、ここ数日、鍵を借りた人間はいなかった。
一体誰が、どうやって、何故、車椅子をそんな場所に運んで放置したのか?
上司の指示で、私は総務課に監視カメラを見せて欲しい旨を伝えた。24時間稼働している監視カメラは病院中にあり、閉鎖された13階も同様だった。しかし話を聞いた総務課長は神妙な顔で、「話はわかったけど、録画は見ない方がいいと思う」と告げた。「経験上、良い方向には絶対いかない」
部署で上司たちによる話し合いがもたれ、結局、監視カメラの録画は見ないことになった。
少しして、6階の車椅子のストッパーが壊れてナースステーションから飛び出し廊下の壁に激突したと聞いたが、例の車椅子だったのかはわからない。
録画気になりすぎる
処分せなあかんね。