深夜のインターホン
投稿者:せいん (8)
自分の住む集合住宅は夜中とても静かで、廊下を歩く音なども室内に居てもある程度聞こえるのだが、ある日深夜2時頃にインターホンが突然鳴ったことがある。
その時自分は家に1人で自室におり、シンとした空間に突然響いた「ピンポーン」という音に心臓が跳ね上がった。
どうしようかと固まっていると2分後にまた「ピンポーン」と今度は数回鳴った。
部屋以外の電気は消しており、自分は部屋の扉からそっと顔を覗かせて真っ暗な玄関の方を窺った。
玄関の横には小さなくもりガラスがあり、外で何かが動けば廊下の明かりで見えることもあるが、何か動く気配もなく、音もしない。
またカメラもないインターホンなので外を確認出来ない。
そのまま固まっていると数分もしないうちに再び「ピンポーン」と鳴った。
怖くて動けない気持ちと、万が一緊急のことだったら出た方がよいのかという気持ちで中腰のまま玄関に近づいた。
まず覗穴から外を確認しようと思ったのだ。冷や汗をかきながら覗穴を確認すると、誰の姿もない。
ホッとしたのと同時に原因が分からず途方に暮れたが、とりあえず部屋に戻ることにした。
すると「ピンポーン」と音が鳴った。反射的に覗穴を確認するが誰の姿もない。
自分は部屋に逃げ帰り固まったまま玄関を見つめていたが、再び音が鳴ることはなかった。
後日友人や家族は酔った人がたまにそういうことをすることもあるんじゃないか、とかインターホンの故障なのでは、と話してくれた。
しかしあの時廊下からは人の動く気配も一切の音も聞こえず、そして確認したがインターホンの故障などは確認できる限りではなかった。
これが、オカルト的なものであっても、生きた人間のものであっても、どちらにせよ恐ろしい体験だった。
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。