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心霊

せいんさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

ひしゃがれた人
短編 2022/04/16 00:51 973view

秋も深まった頃、会社で残業が確定し、パートでありながら何故社員並みの仕事をしなければならないのか自問自答し、夜のゴミ出しで外に出た時、生暖かい風邪と共に嫌な感じがした。

私は中学生の時に、アパートの前に真っ黒い老人のような影を見て以降、色々な方々を見るようになった。

モノレールの改札では縦半分に体がないスーツ姿の男性、駐輪場のママチャリの子供用の椅子には、髪の長い天然のウエーブがかった女の子の首がいたり。

とにかく目を合わせない事と口をきかないこと。耳元で寒いわねと言われても振り向かない。
今までの経験上、気をつけていたのだが、その日の私は疲れ切っていた。

嫌な予感がして、駅を変えたのだ。降りる駅より一駅先で降りて、帰ればいいと思った。ほぼ貸切の電車に乗り、交換電車を待つ間、小雨が降ってきて悲しくなった。

乗っている間はいつもより長く感じたが、降りてしまえば後は帰るだけなので、さっさと帰ろうと駅の階段を降り、川沿いへ降り用とした瞬間、全身をゾッとする寒気が襲った。

電灯が一つしかなく、私がいる位置と五メール近く離れているのにハッキリと人間のようなものが仰向けに倒れていた。緑のミニスカートから細い足が見えていたので女性だろう。

けれど、両腕も足と同じ向きで折れていた。普通の人間ではあり得なく、ひしゃげた人だ。髪も腰まで長くバラけていた。

誰も電車から降りてこなくて私一人、小雨も降っていて流石に怖かったので、よく見る勇気もなく、逃げるようにして帰った。次の日も特に騒ぎになっていなかったので、やはり人間ではなかったのだと思う。

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