深夜の金縛りと女の叫び声
投稿者:せいん (8)
オカルトだとか非科学的な話には、本当は僕は関心がなかったのだけれど、僕が小学校高学年だった頃、その手の話を肯定するような経験があった。今もあの体験はなんだったのかわからない。もしかしたら夢だったのかもしれないという疑いも拭えないでいるのだが……。
それは夜のことだった。子供の頃、どうしても夜に寝付けなくてゲームしたり漫画を読んだりして過ごしていた。深夜になって、夜ふかしもやめてそろそろ眠ろうかと思い始めて、ベッドの上でうとうとしていた。ほんの少しだけ眠ってしまっていて、でも眠りは浅くすぐに目が覚めていたのだけれど、なんとなく違和感があった。身体が動かないのだ。
どういうことかと、しばらく身動ぎをしても一向に身体が動かない。動こうとしても動けない。どうしたのかとずっと動こうとしていると目が覚めてきて、自分の身に起こったことの重大性を自覚してしまった。
ベッドから立ち上がれないからトイレにも行けない。加えて声も出せないのだ。親を呼ぼうにも声が出ない、身体も動かせない。
気持ちが焦って、額に汗をかいているのわかった。呆然とした始めたそのとき、ありえないボリュームの若い女の叫び声が僕の耳をつんざいた。
それは獣のような叫び声で、女の声だとわかるほどには高い声だったのを覚えている。母親の声ではなかったし、僕には姉も妹もいない。その声の主がなにを言いたいのかわからなかったけど、その瞬間、金縛りが解けた。
だけど女の叫び声はまだ続いていて、それが僕は怖くて急いで布団を頭に被って耳を塞ぎ眠るのを待った。今思い出してもあれがなんだったのかわからない。
幻覚や幻聴だと思いたいけど、それにしては生々しかったことだけは覚えている。
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。