いとしのカノジョ
投稿者:バクシマ (40)
・・・彼女はあっけなく亡くなりました。
そして私は、その町から逃げるように転校をしました。
都会に住む伯父さんの家に居候をしながら、都内の高校に通いました。
漁師町から都会への転校ということもあり、クラスメイトの女の子たちは、とても垢抜けていて綺麗に見えました。
しかし、私はもう、彼女との出来事から、女性に対して潜在的に恐怖するようになっていました。
そしてそのころから、
性的嗜好も女性から男性へと変わりました。
それはまるで、あのたおやかで可憐の偶像と化した彼女から逃げるように。
・・・私の青春時代の話はここまでです。
読んでいただいてありがとうございます。
・・・え?いま私がどう過ごしているかですか?
はい。あれから何事もなく、後年に家族を持つこともできました。
はい。息子が1人います。
はい。そういえば、先日こんなことがありました。
私の高校時代のアルバムを、息子と見ていたときのことです。
「ねえ、この人はだあれ?」
息子は、
集合写真で私に寄り添う、
私の彼女だった人を指差します。
「えっとねぇ・・友達かな・・?」
「そうなんだ?でもヘンだねー。
この人、こんなに腕にぴっしりしがみついて、
・・・まるでお母さんの恋人みたいだね!」
「そうね・・・彼女は本当に優しい人だったのよ・・・」
「そうなんだ・・・え、それどういう意味なの?」
「うん?」
「あ、ごめんね。それでこの人はいまどうしてるの?」
「・・・いいのよ。
あたしが『優しい人だった』なんて言ったせいね。
・・・この人にはもう会えないってことよ。」
「え・・・どうして?」
「夜中に写真を撮ろうとして、教会に忍び込んだらピストルで撃たれたのよ・・・」
「え!?シャサツされちゃってたの?」
「ええ。神父の寝込みを襲って顔を撮ろうとしたみたいなんだけど、
その神父が、かつて殺し屋をしていたものだから・・・」
「そっか・・・それは仕方ないね・・・」
「そう・・ね・・」
「お母さん!」
「ん、なに?」
「切り替えていこう!!」
「・・・そうね」
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