オトギリソウの花言葉

何を恨まれているのか確実に分かるのもそれはそれで恐ろしいかもしれませんが、私のように何を恨まれているのか分からない方が心地の悪い恐怖だと思います。

ただオトギリソウの嫌がらせは、しばらくしたら無くなりました。

実はその子が下駄箱にいれるのをやめたから…ではなく、その子が転校したからなのです。

この事件があってから半月も立たずに、クラスのマドンナだった彼女は両親の転勤を機に、別の街に引っ越していきました。

だから、この事件の真相は闇の中で、どうして彼女が私なんかにこんな嫌がらせを始めたのか分からないままになってしまいました。

時を経て、私は新社会人になりました。

過去のそんな出来事もかなり薄らいでいたと思います。

そんなときに、突然朝、自宅のポストを開けたらボタボタと小さな黄色い花が落ちてきたのです。

この花を見て、本気でぎょっとしました。

またあの見覚えのある花、「オトギリソウ」だったからです。

過去のことで、オトギリソウには嫌な思い出が詰まっています。

今回もポストいっぱいに入れられたこの花に、まともさは感じられませんでした。

しかも何か容器や袋に入っているわけではなく、直に花がポストいっぱいに入れられているのです。

どう考えても自宅のポストに直接入れられたような形跡でした。私はこの異常な人に家を突き止められていることにも、ことさら恐怖を抱きました。

なんだか怖くなって、昔の友人に連絡を取りました。

そう、私が昔オトギリソウをポストに入れられたのを一緒に目撃した友人です。

友人はとても心配してくれたし、「誰かに狙われてるとか、ストーカーされている覚えはない？」と確認してくれました。

でも私は仕事ばかりで男っ気がない生活をしていました。

彼氏もいなければ、親しくなるほどの男ができるような環境でもありません。

身に覚えがないというと、益々心配だと言われました。

その友達の助言もあり、家の前に監視カメラを取り付けることにしたのです。

犯人に気づかれないように上手に隠して取り付けました。

この監視カメラのおかげで、間もなく私はその犯人を見つけることができました。

ただ、その見つけた犯人にぞっとしたのです。

1週間ほどして、犯人はカメラにしっかり捉えられていました。

犯人は同性で私の職場の職員でした。

しかもその人と何かトラブルがあったわけでもなく、仲がいいわけでもない取り分け関わりのない職員だったのです。

今度こそ、こんなことをする理由が知りたくて、私は本人に思い切って問いただしてみました。

そしたら言われた言葉が「気づいたらやってたの」です。

最初はありえないと怒りを感じたけど、その人は嘘をついているようにも見えなかったのです。