オトギリソウの花言葉
投稿者:ぴ (414)
私と彼女が出会ったのは高校でした。
私と彼女の関係は一クラスメイト。それ以上でもそれ以下でもありません。
私はみんながやりたがらないクラス委員をしているだけのただの一クラスメイトでした。
反対に彼女はクラスどころか学校で目立つ存在で、とても美人だと噂の的でした。
常にいつも友達に囲まれていましたし、途切れることなく恋人がいるとの噂でした。
私と彼女は同じクラスなのに接点がほとんどなく、ただただ私が認識するだけの存在だったと思います。
いつ頃から私は彼女に恨まれていたのかさっぱり分からないし、恨まれるような存在でもなかったと思うのです。
高校2年生の春だったと思います。
私の下駄箱に、オトギリソウの花が入れられるようになりました。
最初はただのいたずらかと思って気にしていませんでした。
オトリギソウといえば、かの有名なゲーム「弟切草」が思い浮かび怖いイメージがあります。
ですが、実際のオトギリソウは黄色くて可憐なお花です。道端とかに咲いてそうな草花で、私はそれを微塵も気にしていなかったです。
ただ毎日のように下駄箱にオトリギソウが入れられるようになって、ちょっと不気味だなと思うようになりました。
最初の数日はいたずらで済ましたのですが、何日も続くと奇妙です。
だから私は仲の良かった友達に相談して、誰がこんないたずらをしているのか突き止めようと思ったのです。
いつも学校に来る時間よりも早めに来て、下駄箱の近くに身を潜めました。友達と息を潜めて下駄箱の前を見張っていたら、思わず「え、なんで?」て人がやってきました。
それはクラスのマドンナといわれるくらい美人なその人でした。
私は友達と驚いた顔で顔を見合わせました。彼女はカバンからオトギリソウの黄色い花を取り出すと、さっと私の下駄箱に入れたのです。
私は犯人を見つけたらすぐにその場で取り押さえるつもりでいました。
何度もこんないたずらをすることに対して、割と腹が立っていたし、何か言ってやろうと思っていました。
だけど、まさかこの人が犯人だなんて信じられなかったです。
私と友達はその場から動けずに、彼女が下駄箱から遠のく背中を見送ってしまったのでした。
なぜこんなことするのか私は不思議でならなかったです。
だから友達から「ねえねえ」と気まずそうに言われて、オトギリソウの花言葉の話をされたときは、なんだかゾクゾクっと肌が泡立ちました。
オトギリソウの花言葉は「恨み」。「敵意」「迷信」「秘密」「恨み」なのです。
「あの子に何かしたの?」と友達に聞かれたけど、まったくもって思い当たらなかったです。
それどころか、高校に入ってほとんど話したこともない相手が私を恨むだなんて、とても奇妙で不気味に思ってしまいました。
本当に何もした覚えがないのです。
だから私は彼女に一体何を恨まれているかすらも分かりません。
そのせいでより強い恐怖心を抱くのかもしれないです。
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