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不思議体験

アユタヤさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

みいちゃん
短編 2022/04/04 00:08 1,567view

それは私が幼稚園児だった頃の出来事です。

夏も終わりに近づいたある日の午後、親子で買いへ行った帰り道、母が「あら、お友達がついて来てるよ」というのです。
振り返ってみると自分と同じくらいの女の子が目に入りました。
でも今まで一度も見たことがない子だったので「あの子知らない」と答え、そのまま歩き続けました。

片田舎で近所の子供なら分かるはずなのに一体何処の子なんだろうと思っていると、なおもついて来るのです。
とうとう家に着き、母が「一緒に遊びたいんじゃないの」というので「うちで遊ぶ?」と尋ねると、その子は「うん」と頷きました。
それで二人でままごとやおもちゃ遊びをしました。

近所の友達と遊ぶ時は皆元気に走り回ったりするのですが、女の子は無口であまり表情の変化が見られませんでした。
そして夕方になると急に遊ぶのをやめて、一言だけ「帰る」と言い去って行ったのです。

それからというもの女の子は時々私の元を訪れるようになりました。
不思議なことに来るのはいつも午後、他の友達がいない日で、決まって薄青色のワンピースを着ていました。

ある日母からその子の名前を尋ねられ、まだ知らないことに気づいた私は次の時やっと聞いたのです。
すると女の子は「みいちゃん」と答え、いつも通り夕方になると去って行きました。

その日の晩、私は家族に今日のことを話しました。

すると祖母の表情が変わり「近所で見ない子供だし、ずっと変だと思ってた。まさか裏の家で昔溺れて亡くなった子か」というのです。

聞けば昭和30年頃、裏の家の当時4才だった女の子が家族が目を離した隙に、庭の池に落ちて浮かんでいたという不幸があったようで、名前は美佳子、愛称は「みいちゃん」だったそうです。
後で知りましたが、みいちゃんは薄青色のワンピースがお気に入りで、その日も着用していました。

私にみいちゃんの霊が取り憑いたのではと心配した祖母は、翌日お供え物を持って私を伴い、裏の家へ行きました。
そして家の人に事情を話し、仏壇にお線香をあげ「〇ちゃんはまだみいちゃんとは遊べないんだよ、堪忍してね」と手を合わせました。

それ以来女の子が私の前に姿を現すことは無くなったのです。
嘘のような話ですが、それは私にとって今でも忘れられない不思議な体験として蘇ります。

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