私がまだ子供のころの話です。
幼稚園生だったか小学校低学年だったかは覚えていませんが、
大体そのくらいの年の頃、私はよく母方の祖父母の家に泊まりに行っていました。
祖父母の家の近くには大きめの公園があり、
私は泊りに行くときはそこを主な遊び場にしていました。
今だったら問題になっているかもですが、当時の私は当然のように自分一人か、
あるいは弟と二人で遊びに行くのが常でした。
大人たちが祖父母の家に集まるといつも難しい話をしており、
子供は外で遊んでおけと言わんばかりに追い出されていたとも言います。
ある時、弟がお昼寝してしまっていたので、
私は一人でいつも通り公園に遊びに行きました。
公園の植え込みに囲まれた入り口から入り、
そのすぐ近くにあるやや急角度なコンクリート製の階段に駆け寄り、
その階段を駆け下りて、最後の階段を2段飛ばしして、
当時はまだ撤去されていなかった遊具に向かって走り出したとき、
ふと、何か違和感のようなものを覚えて振り向きました。
当時はもちろん、違和感などという言葉は知りませんでしたが、
何かがおかしく感じられ、「あれ?」と不思議になってたまらず、
振り向かずにはいられなかったのです。
振り向いた先、そこには植え込みに囲まれた入り口がありました。
わたしは驚いて目を瞬かせずにはいられませんでした。
何度見てもすぐそこに入口があります。
私は階段を駆け下りてきたはずなのに、すぐそこに入口があります。
駆け下りてきたはずの階段なんてありませんでした。
つい今さっき駆け下りたはずの階段がなくなっていたのです。
当たり前のように入口から階段があってそれを駆け下りたはずで、
最後の階段を2段飛ばしさえしたのに、
そんな記憶というか覚えが確かにあるのに階段はありませんでした。
ですが、考えてみるとおかしいのは階段がなくなったことではありません。
階段があったことこそがおかしいことなのです。
違和感を覚えたのはそこでした。
当たり前のようにあった階段ですが、
この公園には階段なんてなかったはずなのです。
「あれ、私いま階段を降りたのに、え、まって階段、あれ、かいだん???」
というのが当時に心境でしょうか。
本当に昔のことなのですが、思い返してみても確かに階段を駆け下りたはずなのに、いやでも階段って何、としか言いようのない状態だったかと思います。

























それだけ?
階段が無いがゲシュタルト崩壊する所が怖いポイントだって分からないかなー
冷蔵庫を開けたらなんとそこには生首が、の話を思い出してフフッとなった。