走ってくる
投稿者:アユタヤ (6)
私の地元にはダムがあり、その周囲を囲むように公園がいくつかあります。昼間は川もあり魚釣りや子連れの家族がよく来ていますが、そこは自殺がよく起きていたことで有名で、夜に肝試しに来る若者が多くいます。
この話は最近会った友人に聞いた話です。
友人はそれまで全く霊感などなくあまり幽霊などの類は信じていないタイプの人間でした。その日は彼女とドライブに行ったついでにその公園の駐車場に止め、車の中で話をしていたそうです。駐車場は広めの駐車場でその奥に広場があり、さらに奥にダムが見れる配置になっていましたが街灯はなく、周りも木で囲まれているため夜は広場のほうは暗くてあまり見えません。
しばらくいい雰囲気で話をしていましたがだんだん彼女の顔が引きつっていることに気づきました。「どうしたの?」と友人が聞くと「・・・ここって街灯ないよね?・・あれ」とひきつった顔で広場のほうを指さしました。「え?」と彼女の指さすほうを見ると広場の奥、ちょうどダムの下ぐらいに懐中電灯のような大きさの光が左右にゆれていました。それはまるで人が手を振っているような・・・。「駐車場、私たち以外誰もいなかったはずだよね?こんな時間に一人だし・・・。」と怖がる彼女をよそに幽霊を信じない友人は「もしかして何か困っているのかも」と笑いながら車を降りたそうです。
そして「どうしましたかー?」と大声で叫ぶとその光の揺れがぴたっと一瞬止まり、次の瞬間光がぱっと消えダダダダっと黒い影がこっちのほうに向かってきたそうです。広場の広さは端から駐車場までかなり距離があったのですがその陰のスピードは人間とは思えないほど早かったそうです。友人は明らかに何か人間とは違うものを感じ取り、ダッシュで車まで戻り、そのまま町のほうへ車を走らせコンビニに逃げ込んだそうです。「なんだあれ!?」「絶対人じゃないよ!」2人とも顔面蒼白だったそうです。そして落ち着くためにいったんコンビニに入り飲み物を買い、車の戻ろうとしたとき、コンビニのライトに照らされた車を見ると車のフロントガラスにべったりと大人の大きさの手形が何個もついていたそうです。
その公園では今もたびたび夜に懐中電灯のような光が揺れているのを目撃されているそうです。
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