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呪い・祟り

ぴさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

不幸は繰り返す
長編 2022/04/04 21:50 4,887view
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私には3歳年上の兄がいました。私の兄は何をするにも優秀で、とても頭が良かったです。
だから私はいつも兄に後ろに着いていったし、兄も私にはすごく優しく面倒を見てくれました。

しかし、兄にはちょっと人に言い難い性質があったんです。それというのが虫を殺したり、生き物をいたぶるのが好きという残虐な性質でした。
まだ幼かった私はそれがどれほど酷いことなのか分かっていなかったのですが、今になって振り返ると兄は分かった上でやっているように見えました。

私が兄のそんな一面を初めてみたのは、兄が虫を水たまりで溺れさせているところでした。
虫が可哀そうだったので、私は助けてあげようと枝を伸ばしたのですが、兄に「ダメ」と枝を取り上げられてしまいました。

虫をいたぶったりするのは日ごろからやっていることで、私はそんなところはあまり好きではありませんでした。
虫どころか時折動物を虐めているところにも遭遇し、「やめてよ」と泣いてしまったこともあります。

兄は私に手を出すことは一切ありませんでした。
そのような癖を持っているので、もしかしたらそういう衝動がなかったわけではないかもしれません。

しかし、おそらく理性が止めたのでしょう。私には指一本触れず、専ら相手は人間以外の虫や動物に向けられていました。

そんなとき私はあの鳥のヒナ(兄弟)に出会ったのです。父と母に用事ができ、叔母の住んでいる田舎に預けられたときに、その小鳥に遭遇しました。

叔母は昔から犬を飼っており、根っからのペット愛好家です。だから庭で飛び回る小鳥たちもすごく愛でていました。

そんな小鳥にヒナができたと叔母は喜んでいました。巣の中でよちよち餌をせがむ小鳥のヒナたちをみて、私も叔母も気づかぬ内にとっても笑顔になっていました。
まさか、この可愛らしいヒナたちに兄が手を出してしまうだなんて、露ほども思っていなかったのです。

私が気付いたのは兄が私に声をかけてきたからです。
兄が引っ張るので、私は兄に連れられてそこに行きました。
そしたらなんとあれほど元気に歩き回っていたヒナが巣の下に落っこちてぐったり動かないのを見て、私は思わず駆け寄っていきました。

「ヒナちゃんたちどうしたの?」と私が兄に聞くと、兄は「これだよ」と言って、近くにあった石を巣の方へと投げつけました。
巣の中にはもう一匹だけひな鳥が残っていて、もう少しでそのヒナに命中するところでした。

「お兄ちゃんやめてよ!」と私は必死で石を投げようとする兄の足を抑え込みました。
「こら、投げられないだろ」とまるで、私のほうがおかしいかのように怒る兄が信じられませんでした。
私はこのとき初めて兄が怪物のように見えたのです。

私が必死で止めようとするのも聞かずに、投げ続けた兄の石が最後のヒナに命中したのです。
ヒナは巣から落ちはしなかったけど、石でケガをしたのか巣の中でぐったりしているようでした。
兄はその子は諦めたのか落ちたヒナに向かってさらに石を投げつけていたぶっていました。

私は幼いながらその行動を恐ろしく思ったし、理解できませんでした。
でも体の大きい兄を止めることもできず、どうすることもできずに私はわんわん泣いたのです。
そしたらその声を聞きつけた叔母が気づいてやってきて、兄がしたことを酷く怒っていました。

巣の中のヒナはどうにか無事だったようでした。
ただ巣の下に落ちて、兄から酷い虐待を受けたヒナたちはすべて死んでしまいました。

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