トイレの花子さんの正体
投稿者:キミ・ナンヤネン (88)
「私の小学校にはイジメなど絶対にありません。」
テレビの記者会見で俺が通っていた小学校の校長がそう言っていた。
画面ではその顔が映らないようにしていたし、学校名も校長名も出ていなかったが、明らかにその校長だった。
それから10年以上経ったある日、高校からの友人Sと居酒屋で飲んでいた時の事だ。
最近俺が怪談とか都市伝説にハマっていると言うと、Sは
「都市伝説っていうとあれだろ?トイレの花子さんとか?」
と聞いてきたから
「ああ、昔からある学校の怖い話ってのも都市伝説に入るな。」
「あれってさ、確か一人で学校のトイレの3番目のトイレをノックしたら花子さんが出て来て、トイレの中に誘ってその子を殺すってやつだよな。」
「だいたいそんな感じだな。」
「でも、それって誰が見てたんだ?誰がその現場にいたのか?って話だよな。話に出てくる人はみんな死んでるんだからさ。」
「まさにそれ。俺の小学校で同じことを思った奴がいてさ、グループで花子さんを呼ぼうって事になったんだ。」
「それでどうなった?」
「クラスのいわゆる地味子っていうの?目立たない子…K子って子を誘ってグループに入れたんだ。」
「そのK子を花子さんに会わせようと?」
「ああ。で、結局K子は本当に死んでしまった。」
「何だよそれ。端折りすぎだろう。」
「…あくまでも噂ではあるけど、K子は頭を便器に突っ込まれて溺死だった。」
俺は思い切って知っている事をSに話すことにした。俺は話を続けた。
「結局、学校は不幸な事故として処理したんだ。そうするしかないだろう。誰も花子さんのせいで死んだなんて誰も信じないからな。」
「じゃあそのグループが怪しまれるんじゃないのか?」
「いや、ただグループで放課後にトイレに行っただけだからな。特におかしなことなんてないよ。」
「そうかもしれんが、その子は死んだんだろ?警察とか学校は詳しく調べなかったのか?」
「ん…。あったとすれば、トイレの個室にはK子も含めた5人分の足跡があって…その中の一人は大人の物だった事かな…。」
「ちょっと待て、何でお前はそんなに詳しいんだよ。」
「…あくまでも聞いた話だよ…。」
「…そうか…。」
「ああ、その小学校では校長が言う通り、イジメなんて無かったんだ。」
これって意味怖じゃ無いのぉ