空白の18年間
投稿者:音松 (11)
玄関を開けた瞬間1人の男の人が、玄関を閉めることができないように素早く足を入れてストッパーにした。
2人の男の人が家の中をジロジロと見ながら「お父さんいる?」と聞いてきたので、「はい」と言って父を呼びに行った。
今でもこの時のことを鮮明に覚えているのですが、2人の男の人を見た父は一瞬で顔色が変わった。
そして父は「向こうに行っていなさい!」と強い口調で私に言った。
心配になった私は別の部屋で聞き耳を立てるもゴニョゴニョとした話声で何と言っているのかよく聞き取れない。
だが、父が時々謝っているのはなんとなく聞こえた。
私が聞き耳を立てていることに気が付いたのか父は「ここではなく外でお話しできませんか?」と少し張った声で男の人たちに提案し、そのまま外へと移動していった。
話し声がもう何も聞こえない。
姉は特に気にすることなく、ソワソワとしているのは私だけ。
だって1週間前に2回も怖い思いをしたから。
それから1時間程が経過し、何もなかったかのような顔で父が家に戻ってきた。
私「なんだったの?」
父「子供には分からない難しい話」
私「大丈夫なの?」
父「大丈夫だよ!行政センターの人たちだったんだから」
父の言葉になんだか納得できなかったが、何事もなくて良かったと心から思った。
この時は…。
ダブルワークをしている父は、この日は夕方からの出勤で帰宅は翌朝6時。
父が翌朝に帰宅する日は、私と姉が学校に行く準備をしている時に父が帰宅し、みんなで朝ごはんを食べるという流れ。
だがこの日は7時になっても父が帰ってこなかった。
姉「仕事が長引いてるのかもね。ご飯食べて学校行こうか」
そう言って私と姉は学校に行った。
学校が終わり家に帰っても、父が帰ってきている様子がなかった。
この日も父は帰ってこず、翌朝になっても帰ってこなかった。
父に何度電話をかけても出ない。
家にはお金もないし食べる物もない。
姉とどうしようか悩んでいるところに近所に住む父の兄が家に訪ねてきた。
父の兄「大丈夫?とりあえずウチにおいで」
私「でもお父さんが帰ってくるかもしてないし…」
父の兄「言いにくいんだけどさ、お父さんから連絡あって当分帰れないらしい」
姉「どうしてですか?」
父の兄「俺も詳しいことはよく分からないんだけどさ、お父さん借金していたみたいでさ」
姉「どういうことですか?」
父の兄「結構な額を借金していたみたいで、ウチに男の人が2人訪ねてきたんだよね」
私「お父さんは今どこに?」
父の兄「いつ帰ってくるのかも分かんないし、どこに居るのかも分かんないけど、「子供たちのことはよろしく」とだけ言われたから迎えに来たんだよ」
18年もの間、子供と離れ離れで働かされてたとかかな
どんな気持ちだったのだろう
こうなりたくないな
可哀そう