神社に棲まうもの
投稿者:ユウナ (3)
ろくに整備のされていない階段は暗くてよく見えず、滑らないように足元に気を配る事だけで精一杯でした。
なんとか登り切り長い道路を渡り、もう少しで神社が見えてくる、そんなときです。
不意に冷たい空気が私の背中を撫で、ゾッとした私は恐怖のあまりその場で固まってしまいました。
あまり詳しくは覚えていませんが確かその時は無風ではなかったはずです。
それなのに何故かその時私は動くことができず、まるで画鋲で足を留められたかのような感覚に陥っていました。
男の子は最初私が止まったことに気づいていませんでしたが、つないだ手が張ったからでしょう。
明らかにおかしい私の様子をみたペアの男の子が、私の後ろを見てそのまま石のように固まりました。
どれだけそうしていたのかはわかりません。
私は恐ろしくて後ろを向くことはおろか、地面を見つめるだけで精一杯でしたし、男の子も後ろの何かを見たまま固まったままでした。
その時私は下をじっと見つめていたので男の子の表情を知ることはありませんでしたが、きっと二人とも同じような表所をしていたと思います。
このまま時間だけが過ぎていくのかと思ったその時、男の子がはじかれた様にパッと前を向くと私の手を強く引いて走り出しました。
小鳥一匹いない森は不気味で、とにかく早くこの神社から逃げ出したい一心でした。気が付けば私たちは皆の元に戻ることができていました。
私たちの番になってから相当時間がたっていたようで、友人たちにはとても心配されてしましたが私たちはあの場所での心霊体験を話すことはありませんでした。
話したらついてきそうな気がしたからです。
それ以降私とその男の子は一切神社に立ち寄ることも関わることもやめたため、ぞのごじんじゃがどうなったのかは知りませんし、肝試しが続いているのかもわかりません。
学校を卒業してからは当時の友達とは疎遠になっていましたが、ある日男の子に再開し、その時にようやくあの時後ろになにがいたのかを聞くことができました。
男の子曰く、髪の長くて背の高い何かだったそうです。
暗闇ではっきりとは見えませんでしたが、明らかに人間ではありえないような腕の曲がり方にぐにゃりとまがった首。
そんな何かが私たちの事をじっと見ていたそうです。
目が合った瞬間はまるで金縛りにあったみたいに動くことができなかったこと、ソレが動き出した瞬間、このままじゃ乗っ取られると思ったことを話してくれました。
私は後ろを見ていなかったのでわかりませんでしたが、男の子は走りながら後ろを確認したため知っていました。
私たちが鳥居をくぐるまでその何かはずっとついてきたことを。
あと少し走り出すのが遅かったら、もしあの時転んでいたらどうなっていたのか、わかりません。
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