呪いを解き放ったかもしれない
投稿者:煙巻 (8)
そんなとき、またしても小さく聞き取れない音、もしかしたら声のようなものが聞こえた気がした。
途端、俺の軸足が搔っ攫われたように滑り、階段の出っ張りに体中をしこたま打ち付けながら転がり落ちてしまった。
「わあああ、ぎゃあ!」
すぐに地面と接触し難を逃れたが、打撲と擦り傷が出来たであろう事を想像し、痛みに打ちひしがれる。
幸いにして頭はぶつけておらず骨折もしていないようだったので、すぐに周囲を見渡し、ここが何処なのか探った。
ギギギ
すると頭上の方で何かが軋んだ音が鳴る見上げれば、俺が落ちてきた階段の入口からゆっくりと明かりが萎んでいくのが見える。
誰かが木蓋で閉じているとわかり、俺は咄嗟に叫ぶ。
「待って!俺がいるって!ねえ!」
どう考えても俺の張り上げた声は届いていた筈だ。
それなのに木蓋は閉じられ俺は地下に閉じ込められることとなった。
ただ不思議なのは、外部から遮断された地下だというのに、視界がさほど真っ暗というわけでもなく、田舎の森の中のように辛うじて物が見える程度。
地面が土だったおかげで、それが緩衝材となり俺は大事には至らなかったようだ。
土臭さと錆び臭さを混ぜ合わせたような匂いに鼻腔をやられながら、俺はとりあえず立ち上がり、壁伝いに進んでみることにした。
今思えば、階段を上り木蓋を開ければいいのだが、どうして奥へ進んだのかは俺自身わからない。
一歩一歩助かめるように慎重に進むこと暫くして、何か建物が見えてくる。
随分輪郭に空洞が多くはっきりしない靄のような壁。
近寄ればそれが一部屋を囲うほど大きな格子だとわかり、一目でそれが牢屋だと認識できた。
「…牢屋?まじでダンジョンじゃん」
俺は呑気な感想を漏らしながら格子に触れてみる。
ひんやりとした鉄らしき質感と鉄分を含んだ匂い。
俺は格子に捕まり中をまじまじと覗いてみた。
「うわああああっ」
驚いて顔を離すと豪快に尻もちをつく。
俺がまじまじと格子の奥を見ていると、突如として、蝋燭が爛れたような白い肌をした顔が血走った目を俺の眼前まで押し付けてきたのだ。
心臓がバクバクするのを感じ、視線を格子の奥へ向ける。
しかし、どんなに目を凝らしてもそこには何もいない。
格子、つまり牢屋の中の空間は六畳ほどだろうか、この狭さから四方を囲う灰色の漆喰が剥がれた外壁が見える。
そんな狭い牢屋の何処をみても人影などはなく、さっきのが幻覚だと言われた気分になった。
この地下もここが終点で行き止まりと分かり、俺はじわじわと沸き立つ恐怖心から引き返そうと思い立った。
面白かった
もっと評価されてもいいと思う
面白かったし怖かったしオチも最高だったけど、なかなか読みにくい文章だった。
それすらもそれも不気味さを演出していたけど
構成も文章もしっかりしているし、話自体も、時系列にそって流れているため分かりやすく読みやすかったです。結局、呪いは解き放たれたのか、祖父の代をもって終了したのかわからぬまま結んでいる点で、逆に不気味さと呪いの連鎖への不安や怖れを暗示しているように感じましたが。
うむむむむむむむ…
時代背景がよく分からんかった(´・ω・`)
戦後って第二次世界大戦?戊辰戦争とかなら時代背景想像出来るんだけど