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呪い・祟り

煙巻さんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

呪いを解き放ったかもしれない
長編 2022/03/11 12:02 51,631view
5

……て

「ん?」

か細く小さなそよ風のような異様な空気が漂い、俺は眉間を寄せた。
ただほんの僅かな囁きが聞こえた気がした俺は、徐に中へと身を乗り出し、摺足
で足場を確認しながら建物の中へと侵入を果たす。

俺の支えを失った片扉は勝手に閉じると僅かに音を立てた。

板で打ち付けられた窓から差す頼りない月光が光源となり、目を凝らせば中の様子がそこそこ確認できた。
乱雑に見えて荷崩れしないよう嵩張った荷物の山々と、使用されていない家具や寝具の一式、旧式の掃除機なんてのも見かけたりして、俺は財宝置き場と見紛う錯覚に陥った気分だ。

でも、まさか祖父の家でこんな探検ごっこじみた体験ができるとは思ってなかったので、自然と高揚感に満ちていた。

荷物の殆どは埃凌ぎの為に布切れが掛けられていて、俺は幾度も暖簾を潜るように品を確認して回る。

ただ、本当に使わないものばかりで物珍しさはなく、俺の目にはどれもガラクタに映った。

そんな折、障子からゴトッと小さな物音が鳴る。

反射的にその方向を訝し気に見やった俺は、好奇心が勝り、障子へ近づいて思いっきり開けてみた。

そこには特に何もない八畳ほどの和室が広がっているだけだった。

家具は些細なものが壁際に置いてあるだけで、この部屋に変わった様子はない。
物が落ちたふうでもない。
ただ、中央の畳だけは不自然に正方形に縁どられたもので、俺の好奇心はかつてないほど惹きつけられる。

「よいしょっと…」

子供の力でも簡単に持ち上がった畳の下に木蓋が現われる。

一瞬逡巡したがとりあえず取ってみる。

木蓋といっても畳一畳の半分ほどの大きさだ。
それを取り除けば、地面に空洞が開いたように暗闇が口を広げ、開封と共に冷気が上がってくる。

「すげ…、地下かな?」

この時俺は連想したのはRPGゲームでよくある地下ダンジョンだった。
祖父の家の下に地下ダンジョンがあるとか世紀の大発見だと気持ちが昂っていた。

さて、どう降りようものかと困り果ててしまったが、ちょうど雲が晴れたのか空洞に木組みの階段がある事を月光が照らしてくれる。

最初の何段かは頭上が低くて中腰になりそうだが、なんとか入れそうだ。
俺は恐る恐る足を踏み入れるものの、明かりがないとこの先何も見えない事に思い至り、足を引っ込める。

……て

2/7
コメント(5)
  • 面白かった
    もっと評価されてもいいと思う

    2022/03/14/18:24
  • 面白かったし怖かったしオチも最高だったけど、なかなか読みにくい文章だった。
    それすらもそれも不気味さを演出していたけど

    2022/04/15/20:08
  • 構成も文章もしっかりしているし、話自体も、時系列にそって流れているため分かりやすく読みやすかったです。結局、呪いは解き放たれたのか、祖父の代をもって終了したのかわからぬまま結んでいる点で、逆に不気味さと呪いの連鎖への不安や怖れを暗示しているように感じましたが。

    2022/11/03/20:11
  • うむむむむむむむ…

    2023/05/26/20:56
  • 時代背景がよく分からんかった(´・ω・`)
    戦後って第二次世界大戦?戊辰戦争とかなら時代背景想像出来るんだけど

    2023/06/29/05:21

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