万引きを止めてくれた人
投稿者:ぴ (414)
小学生の頃の私は、ちょっとだけ荒らんでいました。
私が物心つく前に父と母は離婚して、母は女手一つで私を育てました。
母から愛情をもらえなかったわけではありません。
母は私たち姉妹のために朝から晩まで働いていましたし、きちんと育ててくれました。
しかし、妹が病気がちだったこともあり、片親で仕事にかかりっきりだった母が私に構ってくれる時間はほとんどありませんでした。
いつも母がお世話するのは妹ばかりで、「お姉ちゃんだから我慢して」と口癖のように言いました。
多分これが寂しかったのでしょうね。
私は子供ながら自分の環境が嫌でたまらなかったです。
少しでも誰かに構ってもらいたかったんです。
だから私は「万引き」という犯罪を手を染めかけていました。
最初に魔が差したのは、学校の近くにあった駄菓子屋さんでした。
私はそこでお店のおばあちゃんが見ていない内に、チョコを1個万引きしてしまいました。
一番最初に感じたのは万引きするときのドキドキの高揚感です。
そして万引きをしてバレなかったことで、安堵とともに変な達成感のようなものを感じてしまいました。
もちろん、罪の意識はありましたよ。
店で物を盗むってことが悪いことだという認識は十分にありました。
だけど、私は一度この万引きが成功して、もう一度この高揚感のような達成感のようなものを感じたくなったのです。
おそらく私はあれを続けていたら、今頃万引き常習犯になっていたように思います。
小学生からそんな犯罪に手を染めて、捕まりでもしたら一生の傷になっていたでしょう。
でもそうはなりませんでした。
理由はそうなる前に止めてくれる人の存在があったからなのです。
私はこの人に感謝しています。感謝してもし足りないくらいです。
今振り返ってもあの日の出来事は私には大きかった。
しかし、私はその人に直接お礼を言えていないのです。
私が二度目に万引きをしそうになったのは、母とよく行く街の小さなスーパーでした。
よく母に連れられて夕食を買いにこのスーパーに立ち寄りました。
私は母が妹を病院に連れて行っている日に、一人お留守番をしていました。
その寂しさに耐えかねて、一人お財布も持たずにスーパーに向かったのです。
夕方一人でうろうろする小学生はひどく目立ったでしょうね。
親も友達も連れずに一人でいるのはかなり怪しかったと思います。
ちょっぴり怖いですが、素敵なお話ですね。