霊を呼ぶ怪談会

怖い話をすると、霊が寄ってくるというのは本当のことのようです。

私達が旅行に行った時、夜旅館の部屋ですることもないままに怪談をそれぞれ話すことになりました。
特に霊感が無く、怖い経験をしたことがない友達は、聞いた話でも良いのですることとしました。
霊感のある友達の話は流石に怖く、皆何となく近くに寄り添って話を続けました。

すると、話の途中、押入れの中で「ドン」という音がしたのです。
私達はその瞬間、悲鳴を上げて布団に突っ伏す人、顔を手で覆う人、押入れをじっと見る人、と恐怖に襲われました。
誰も押入れを開ける度胸はなく、何の音だったのか、いや単に木が鳴っただけでは？とささやき合いました。

すると、急に「違うよ。いるよ」と言う声が。

伝統のある旅館で古く、しかも部屋の電気を豆電球にしていたのでよく見えません。また、周りを見回すことも誰も出来ませんでした。

皆で手を握り合って震えていましたが、ある友達が、「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前！」と九字を切ったのです。
これで安心かと思ったその時、また笑うような声で
「そんなんじゃ効かないよ」
と。
もう怖くて怖くて、私達は部屋の電気を点けたまま布団にくるまって朝を迎えました。
あれが何だったかは、未だに誰にもわかりません。
それ以来、私は決して怪談はしません。