夏休みのプールにいたもの
投稿者:上龍 (34)
短編
2022/02/15
11:48
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小学生の頃の話です。
当時の私はとんでもない悪ガキで、夏休みの締めくくりにちょっとした冒険をしたいと思い立ち、友達と誘い合わせて夜のプールに忍び込みました。
時刻は夜9時、学校のプールには当然誰もいないはずでした。
ところが……学校裏に自転車をとめ、塀を乗り越えてプールに近付く最中、不審な水音が聞こえてきたのです。
「誰か泳いでるのか?」
十分用心して金網を掴み、そーっとプールを覗き込んだものの人っ子一人いません。
他の連中は私の気のせいだと笑いますが、こちらは確かに水音を聞いたのです。
その時、すぐ後ろにいた同級生が「あっ」と叫びました。
「なんだよ」
「見ろよ、プールサイドが濡れてる」
指さす方にそろって顔を向け、言葉を失いました。プールを囲むコンクリに数か所水たまりができているのです。
昼のプール教室の痕跡なら、炎天下で乾いてないのが不自然でした。
たった今誰かが歩いたみたいな……
皆が重苦しく沈黙する中、金網に張り付いた私が目にしたのは、プールの縁を掴んだ一本の白い手でした。
しかしその手はぶよぶよにむくんでおり、生きている人間のものとは到底思えません。
「うわああああ!」
次の瞬間、私たちは一斉に逃げ出しました。
プールに潜んでいたのは一体何だったのでしょうか?今でも不思議です。
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