急に容姿を褒める祖母

僕の家は父方の祖母との二世帯住居です。

祖母は僕たち家族にはあまり関心がないようで、生活は完全に分かれています。

しかし、僕が高校生になった頃。

急に祖母が僕のことを「あんたは格好良いな。」「男前だな。」と褒めるようになり、これまでには一度もなかったため、何と応えれば良いのか分かりませんでした。

その日を境に食卓ではずっと僕の容姿について褒めることが続き、家族全員が不信に思っていました。

姉が「どうしたのお祖母ちゃん。急に。なんか気持ち悪いよ。」と言うと、「何で？こんなに格好良いのに。あんたは姉なんだから、もっと自分の弟に誇りを持ちなさい。」と言い返され、面食らっていました。

2年程その状況が続き、父が「もうボケてきたんだろう。施設への入居も考えないとな。」と老人ホーム探しを始めました。

そんなある日のこと。

警察が家に来て、僕をストーカーしていた女性が銃刀法違反で逮捕されたと言います。

その女性は面識がなく、僕の友人伝いに僕のことを知って好きになったそうです。

その女性は包丁を持って僕の家の横の道に立っていたそうで、近隣住民からの通報で逮捕されました。

恐怖でゾッとしたのと同時に、もっと怖いことが起こりました。

それは、祖母が女性の逮捕を機に僕の容姿を褒めなくなったことです。

容姿を褒めることについては「なんで私が孫のことをそんなに褒め称えなきゃいけないんだ。」と言っており、祖母本人も覚えていない様子です。

あれから5年ほど経ち、祖母は老衰で亡くなりました。

女性の念が祖母に移っていたのか？あの時の真相は今も分かっていません。