ウミカクシ 海上の恐怖と街の伝承
投稿者:イエティ (51)
長編
2022/01/05
12:42
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クルーザーが停泊していた。
北からK埼、S浜(出発地)、T浦、O浜。
普通なら15分以上はかかるし、K埼からO浜なんて30分はかかるだろう。
流されている、わけがない。
潮の流れがあまりないことは釣りをしている時点で把握していた。
外洋が波立っているわけでもない。
何らかの超常現象が起こっているか、3人とも変なクスリやってるかのどちらかだ。
変なクスリをやった覚えはないし、この瞬間移動は本当に説明がつかない。
夜の海の上というただでさえ若干の恐怖を感じる場面で、こんな現象に見舞われ正直ちびりそうな勢いだ。
しかしなぜか瞬間移動する先は漁港の中だ。
漁港の明かりや住宅地の明かりがある分、まだ耐えられる。
海上でてんぱってしまうのはよろしくない。
冷静に、確実に打開策を練らねばならない。
さてどうしたものか。
またライトを点けたり消したり、S浜にたどり着くまで瞬間移動し続けるのがいいのか。
ただまた瞬間移動できる保証なんてないし、あの世に連れていかれる、とかもあり得そうだ。
今はO浜にいるのは分かっているから、ここからS浜に帰ればいいんじゃないか…
とも思った。
O浜→T浦→S浜と行くのだが、O浜とT浦の間には浅い岩礁帯があり、それを大回りして帰ることになる。
大回りすると潮の流れがかなりきつい外洋側に出ることになるが、この小さい船で、しかも夜に移動は危険が伴う。
T浦以北と以南では全く違う海だとまで、地元の漁師の間で言われているくらいだ。
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