ウミカクシ 海上の恐怖と街の伝承
投稿者:イエティ (51)
長編
2022/01/05
12:42
19,692view
Eが言う。
「いや、迷ってはない。ここK埼だ。」
K埼とは、俺らが出航したS浜の隣の隣の漁港だ。
仮に流されてたどり着いたとしても、かなりの激流に勢いよく流されなければカップラーメンを食べ終わるまでの10分そこらでは到底ここまでたどり着けないだろう。
まさか、と思いつつもあるものが目に入った。
数十m先で赤く点滅する灯台。
これは確かにK埼にある灯台だ。
Hほどではないが、俺だってこの海はよく見てる。
全員がただならぬ雰囲気に寒気を覚える。
ただでさえ寒いってのに。
「一旦落ち着いて確認しよう」
Hの提案に、俺たちはスマホを取り出した。
再びライトを消し、グーグ〇マップの航空写真で位置情報を見る。
ちなみに、田舎の海上とはいえ、ほとんど沖に出ていないし当然電波は通っている。
「K埼になってる」
Eが言った。
「いや、T浦になってる・・・」
Hが言った。
俺のスマホには、S浜の南にある、よく金持ちがクルーザーを停泊させているO浜に位置情報があった。
ライトをつける。
また、景色が変わっていた。
長く突き出た堤防、これはおそらくT浦だろう。
ライトを消し、再びつける。
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 45票
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。