だれかが中で何かをしていたのはたしかだ。
引き戸を閉めたのもその誰かだろう。
もしもSと、何者かがそれぞれ準備室から退室したあとに、
無関係の教師かだれかが理科室に来て、引き戸が開いているのを見つけて、
それを閉めたというなら・・
不用心だなと入室して「鍵をちゃんとかけたうえで」
日頃に理科室に出入りするSや他の人間に注意する也、
何か盗まれていないか確認する也、
多少は戸締りを厳重にする也、処置をするのではないだろうか?
結局、なにがどうなっていたのかはSには判らなかった。
なにはともあれ、自分がお咎めをうけることもなかったし、
なにかが大事になったわけでもない。
その後はSは準備室に忍び込むことは止めた。
だが卒業した次の年に、その高校で事件が発生した。
その高校の卒業生が学校に忍び込み、自殺したのだ。
(これが最初に述べた私が口にした事件)
ニュースなどでは詳細は報道されなかったが、
地元の噂ではその卒業生は在学中は理科クラブに所属していた人で、
理系の大学に進学しtが、人間関係が上手くいかずに退学、
精神的に病んで地元に戻ってきたうえで
高校の理科室に忍び込んでの自殺らしかった。
噂が本当ならば、その卒業生はSの入学と
いれかわるように卒業した人らしかった。
事実はわからないが、あのときに理科室にいたのは
その先輩だったのかも、とSは言った。
理科クラブに所属していたのが本当ならば、
あの頃も、その後も、その先輩はかつての思い出のある理科室に
なんども侵入していたのではないだろうか。
かつて孤独だったかもしれないが自分一人の王国だった理科室に。
準備室の鍵が開けられることもしっていたかもしれないし。























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