描いた絵が現実に
投稿者:キミ・ナンヤネン (88)
それからしばらくの間、例のスケッチブックを使うことは無かった。
僕が4年生になると、友達は弟や妹と一緒に遊ぶことも多く、僕も一緒に遊ぶことがあって兄弟がいるという事がうらやましくなった。
そこで、例のスケッチブックに赤ちゃんの絵を描いてみた。
そんな事も忘れた1年後に、本当に妹が生まれた。僕は5年生になっていた。
妹を描いた絵は、またいつの間にか無くなっていた。
僕は妹をかわいがろうと抱っこをしようとすると、母は汚れた手で触らないでとか、あなたにはまだ抱っこは無理よ、などと言い出した。
次第に、両親は妹ばかりをかわいがり、世話をするようになって、僕の事はほったらかしの状態となった。
何か不満の一つでも言おうものなら、お兄ちゃんだから我慢しなさいとか、お兄ちゃんのくせに、などと言われることが当たり前となっていた。
赤ちゃんに手がかかるのは分かってはいるが、僕としては今までの幸せを妹に奪われたような気がしていた。
妹は1歳になり歩くこともできるようにはなったが、なぜか僕に懐こうとはしなかった。
両親は妹に付きっきりで、僕は両親から邪魔者だと感じていた。
次第に、僕は妹を憎むようになっていた。
妹さえいなければ、僕は以前のように幸せな生活が出来ていたはずだったからだ。
そこで僕は、例のスケッチブックの最後の1枚に、笑っている妹の絵を描いた。
僕は思い切ってリビングにいる両親に初めてその絵を見せたのだが、その反応は薄く、あまりいい返事がもらえなかった。
しかしこれは予想していた事だったので、すぐに自分の部屋に戻ってその絵に書き足した。
顔の周りを赤く塗りつぶし、その横に包丁を描いたのだ。
その時、僕は6年生だった。
ツイッターの方で「闇芝居」と被っているのでは?という指摘がありました。
私はそれを見ていないのですが、本当に被っているのなら教えてください。
作者より
確かに描いた絵が実体化する設定はありますが、内容は全然似てないので大丈夫だと思います
ご返事ありがとうございます。
ツイッターの方でも内容は違うとのことで安心しました。
作者より