呪いの終着点
投稿者:ligy (1)
そしてお婆さんは、
「絶対に許さなあああ、あああああ、ああ」
と、どこまでも伸びる怒号を飛ばし、私はあまりの恐怖で気絶したのかそこでプツンと記憶が途絶え、気がついたら朝になっていました。
寝汗でびっしょりなパジャマとシーツを見て、あれは夢だったのだと自覚します。
しかし、私はA君の身に起きた出来事を思い浮かべ気が気でなりません。
お婆さんは盆栽を割った犯人に辿り着いたのです。
A君は事故で片手両足を骨折する大怪我を負いました。
それは幸か不幸か判断しかねますが、一歩間違えば命を落とす大事故です。
果たして、私はどのような天罰が下されるのか、想像するだけで漏らしそうになり涙が止まりませんでした。
その日から連日連夜お婆さんは夢に現れ私の顔すれすれに近付き「許さん、許さん、許さん」と延々怨み言をぶつけてくるのです。
しかし、私は事故に遭う事はなく、A君も退院し、やがて季節は過ぎて皆が学校生活を謳歌している間、私は自室に閉じ籠っていました。
ある日からお婆さんは夢だけじゃなく、私の日常に入り込んだのです。
ある日は起床すると部屋の隅にいました。
ある日は窓の外からリビングを覗いています。
ある日は電柱の陰から、ある日は踏み切りの反対側から私を見ています。
あの全ての恨みつらみを込めた形相で私を睨んでいるのです。
白昼は四六時中睨まれ、夢では延々と呪言のような怨み言を私が起きるまで続けるので、私の精神は磨耗し引きこもりになりました。
A君との違いはまだお婆さんに追いかけられてないという点です。
私を殺すつもりなら既に追いかけられてもおかしくはないのですが、これ以上の進展はないのです。
お婆さんは私をどうしたいのか今でもわかりません。
ただ、これがお婆さんの呪いだとしたら、その終着点は私の死だとしか思えないのです。
そして、どうしても外出しないと行けない日がやって来て、その日は生憎の雨天でした。
踏み切りで立ち往生していた私の背後からお婆さんの声が聞こえてきます。
私は振り返り傘を挟んだ先にお婆さんの姿を捉えました。
目が合うとお婆さんはこっちに走り出してきます。
私は後退り目をそらすように踵を返し、そこへ電車がやって来る音が聞こえてきました。
私は足を止めてその場に立ち止まり、目を閉じ、いっそのことお婆さんの手で全部終わらせてほしいと思い、覚悟を決めました。
しかし、電車は目の前を通過したようで、車体に弾かれた雨粒が顔にあたる感触と、突風が私の傘と髪の毛を巻き上げていくだけでした。
お婆さんは私を殺したいのではないのかと思い、私は瞼を開け空を見上げた時、雨粒が目に入った冷たさで目元がビクッと跳ねます。
これも生きている実感だと思い、突風で飛ばされた傘を拾いに走り出しました。
読ませるねぇ、面白かった
少し理不尽な気もする呪いですね
お婆さんの気が済んでいればいいけど…
真相を、はっきりと伝え、真摯に謝罪すれば許してくれたのではないでしょうか。
あの日の出来事を、学校の先生やおばあさんに伝え、謝罪していれば、こんな事態にはならなかったのでは?謝罪し、真実を伝えることがそんなに怖いことでしょうか。未だに怯えているなんて。自業自得だろうと思ってしまいます。
逆に私を自己に合わせたのはお前かって言ってみたい
訂正自己× 事故
普通に怖い
般若の形相
他人の一方的な呪いの巻き添え食って子どもを轢いてしまった運転手に同情を禁じ得ない