コンッ、コンッ…から、バンッ！！！

5年程前の話。深夜二時。いつものようにネットの友達とチャットで話していた。趣味のTRPGの途中だったんだが、その時ふと気が付いた。

「コンッ、コンッ」

自分の部屋の窓を叩く音がする。虫でもぶつかってきてるのか？それとも酔っ払いでも叩いてるんだろうか。もしそうなら明日の朝迷惑だなあ、なんて思いながらその音を放置していた。
するとその音は次第に強さを増していく。

「コン…コン…………バンッ！」

一度大きな音で窓を叩かれる。カーテンも締めていたので、人であれば陰でわかるが……よくよく考えると自分の部屋は二階。
酔っぱらった人間が登ってこれるような高さではなかった。つまり虫？それにしても音が大きすぎる様な。

断続的に聞こえるその音に、チャットをしていた友達に助けを求めた。

「ねえ、なんか窓叩く音するんだけど」
「何それ」
「俺の部屋二階だから絶対に人じゃないんだと思う」
「やばくね？」
「盛り塩したら？外からの音なら入ってこれないようになるはずだから。部屋の中にいたらやべーけど」

なるほど。盛り塩。その考えはなかった。こうして相談をしている間も窓は叩かれ続ける。変に反応したら負けだと思った。

自分はキッチンに行った。四隅に置くために塩（と言ってもお清めの塩なんてあるわけないから、家にあったよくある食塩）を小皿に持って部屋に戻ってそれ部屋に置いた……瞬間。

「バンッッッッッッ！！！！！！！！！！！！！」

聞いた事のないような強さで窓が叩かれた。……それ以降はその窓を叩く音はしなくなった。
チャットの仲間もあまり長起きするのもよくないのかもしれないし、ちょうど丑三つ時だったのもあって、その時は解散した。

次の日、流石に窓を見る勇気はなかったので、カーテンは閉めたまま、会社に出勤しようとすると、当時自分が住んでいたアパートの前の道路で、猫の死体があった。
これもあの時の霊？それとも他の何かの仕業なのだろうか。
チャットをしていた連中にまた連絡を取ってこんな事があった、と伝えると、そのうちの一人が

「生霊とかなんじゃね？結構悪さする生霊っているみたいだし。お祓い行きな。京都の○○神社とかいいっぽいよ」

と教えてくれた。仕事の都合上、そんな直ぐに行く事は出来なかったが、そのお祓いに行けと言ってくれた子と一緒に神社でお祓いをして、今のところあの時のような経験はしていない。本当に生霊だったのか、それとももっとタチの悪いものだったのか……自分にはそもそも霊感がないから、未だにわからないでいる。本当に、あの時に体験したのは何だったんだろうか。生霊だとしても、自分に着くメリットなんてない気がするが……これからは、そういうあからさまな現象に合わないよう祈るばかりだ。